沖縄の動物病院にて

こんにちは。 いつも楽しく拝聴しています。
動物の話がちょこちょこ出て来るので怖くは無いと思いますが
沖縄で動物看護師として働いていたときの話をしたいと思います。

5年程前、私は県外から沖縄に移住し、動物看護師として働いていました。
沖縄とは県外の人間から見るとやはり少し雰囲気のちがう場所で
不思議な話にも寛容というか、そういうこともあるよねといった
独特の感性の方が多くいたように感じます。
二階建ての病院でしたが、オペ後1人二階で手術器具の片付けをしていると
隣の部屋に獣医の先生が入って行きました。
直後一階からその先生からの内線呼び出しが。
下に降りて「今二階に来ましたよね?」と確認しましたが「行っていない」との事。
他の看護師も違う場所でその先生を同時に見たりすることもあったのですが
当の本人や沖縄出身の方たちは
昔車にひかれそうになって魂を落としたからだとあっけらかんとしていました。
沖縄ではびっくりしたりすると魂を落とすと考えているそうで、
「マブイ(魂)グミ」という儀式をすると魂を拾えるのだとか。
先生もその後ユタの所でマブイグミをしたらしく、
その後二人先生を目撃することは無くなりました。

そんな感じで幽霊や魂といった話を
沖縄では身近に受け入れているのだと感じました。
ある日病院を開ける直前でシャッターを叩く音が。
急いで玄関を開けると若い夫婦が血まみれのゴールデンレトリバーを連れてきました。
朝の散歩中、広い公園でリードを外した所テンションが上がってしまったのか
車道に飛び出し、車に衝突してしまったとの事でした。
直ぐに処置をし、懸命に治療にあたったのですが間もなく亡くなってしまいました。
ご夫婦はこれから仕事があるとの事でしたので
夕方まで遺体をお預かりする事になりました。
朝イチで重い気持ちのまま病院を開け、通常診察を続けていると
とある飼い主さんに 「玄関の犬可愛いね」と話しかけられました。
玄関には陶器の犬の置物を置いていたため、
その事かと思いましたが大きな金色の毛の若い犬が居るとの事。
ちょうど朝亡くなったゴールデンレトリバーの外見です。
待合室の1番陽の当たる場所でお座りし、じっと外を見ているらしい。
もちろん遺体は1番寒い隔離部屋に安置してあります。
その飼い主さんは猫ちゃんが入院中で面会に来ており、
1日何時間も居座って面会したり少し変わった方ですが
穏やかでいつもニコニコしている普通の主婦といった方なので
びっくりしたのを覚えています。
「飼い主さんを待ってるんだね~」
と言いながらその飼い主さんはお帰りになりました。
夕方ゴールデンレトリバーは引き取られ葬儀に出されました。

その後また件の飼い主さんが面会に訪れ待合室を見渡すと
「あのこ、お家に帰ったんだね~」と。
普通の主婦が世間話のようにニコニコ言われていたのがとても不思議でした。
沖縄という土地だったからなのか
あの飼い主さんが特殊な能力でも持っていたのかは分かりません。

沖縄では他にも色々と体験したのですが5年程務め、
また別の土地に来ているので今はどうなっているねか分かりません。
が私の弟が同じ病院に獣医師として働き始めたので、
何か不思議な事が無かったか、
先生は二人になることは無くなったのか聞いてみたいと思っています。

朗読: 朗読スル脛擦(すねこすり)

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