笑う地蔵

これは私が小学五年生の夏休みの話です。

午前中に友達のS君と私は図書館で宿題してました。
しばらくしてS君は飽きてきたらしく雑誌コーナーに行くと一冊の本をもって来て
S君「なぁ、今からここ行こうぜ!」
と言ってページを開き指さしたところは心霊スポットの特集記事でした。
その記事の内容はこうでした…
『笑う地蔵…○○小学校の近くに設置されたお地蔵さんは
夕暮れどきに微笑みを浮かべるという。
その瞬間を見たものには不幸な事が起こる』
そんな内容だった。
S君「一旦、昼飯を食べに家に帰ったら行こうぜ!
それなら時間的に笑う瞬間見れるかもしれないし」
私「面白そうそうだな、行くか。」
と話は決まり二人でその小学校に行く事になりました。

一時間ちょっと自転車を走らせてその場所にたどり着けました。
時はまだ午後3時くらいです。
確かにその小学校から100メートルくらいの場所にお地蔵さんはありました。
S君「まだ時間が早いかなぁ?」
と言いつつお地蔵さんの顔を覗きこみました。
私もお地蔵さんの顔を見てみると穏やかな顔をしたお地蔵さんでした…
私「なんか普通じゃん…どうする?帰る?」
S君「せっかく来たのにすぐに帰るのもなぁ…」
と辺りを見回すと小学校には定番の文房具兼駄菓子屋がありました。
幸いにも夏休み中でも開いてました。
S君「ちょっとあの店で時間潰してから見てみようぜ」
と言い 私もS君と一緒にその店に行きました。
私がお店のおばちゃんにお地蔵さんのことを聞いてみたら
おばちゃん「あぁ~そんなこともちらほら聞くねぇ…私は見たことないけど…」
と素っ気なく言いました。
「そろそろかな?」とS君は言って店を出ました。
そしてまた二人でそのお地蔵さんを覗きこみました。
すると… 確かにお地蔵さんの顔が着いた時すぐに見たときと違う感じでした…
S君「ん~?なんか変わってるか?」
私はそのお地蔵さんの目尻が下がり、口角が上がったように思えたけど…
私「なんか感じが違う?」と曖昧に言いました。
自分だけに笑っていたなら怖いと思ったのです。
S君は「ちぇ!なんかつまんないな…帰るか」
と言いつつ自転車にまたがりその場をあとにしました。
私もS君の後を追いました。

帰り道に通り雨が降り私とS君はずぶ濡れになり
S君「なんだよ!つまんない思いして雨って…散々だよ!」
と言ってたけど私は降りかかる不幸がこの程度で良かったって思えた出来事でした。
そして今現在、あの頃の出来事が気になり『笑う地蔵』を検索したら
私たちが行った場所ではないところしかありませんでした…
そんな不思議な話です。

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