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テレビの裏

あれはお盆だったか、お正月だったか

家族が実家に集まったある日のこと

私が茶の間でくつろいでいる傍で

当時2歳の甥っ子が

床の間に設置されたテレビの裏を嬉々として覗いている

子供は変な遊びをするものだ

甥っ子は狭いその空間に

顔だけ入れて何かを観察しているようだ…

私は冗談交じりに質問した

「なにか面白いものでもあったのか?」

甥っ子は子供らしいキラキラした目をこちらに向けて答えた

「ライオン…」

いやいやライオンがその狭い、壁とテレビの間にいるわけないだろう

さらに甥っ子は目線をテレビの裏に戻し答える

「やっぱり犬かも…」

なんだそりゃ…

何かの玩具かぬいぐるみでもあるのかと

私もテレビの裏を覗こうとした…

とても大人では完璧に覗くことは出来ない狭い場所なので

私はテレビを動かし空間をひろげることにした

昔からあるブラウン管のテレビだ

「よいしょと…」

狭く、暗く、埃っぽい

それ以外は何もなかった。

設置されてから一度も動かしていない

それは埃の量を見ればわかる

「何もないじゃん」

2歳の甥っ子は首をかしげるだけ…

噓をつけるような年でもないし

詳細を説明できる年でもない

その時は子供の妄言と決めつけ

誰かに話すこともなかった

しかし

3年後…またある日の家族の集まりの日で同じような状況に出くわす

甥っ子には弟ができたいた

その弟が例のテレビの裏を覗こうと

小さな顔を隙間に入れている…

やや恐る恐る私は問う

「何かいるのか?」

少し考えて答えが返ってきた

「…うーん……妖精?」

流石に気味悪くなった

まるで子供しか見えない何かが…

テレビの裏にいることを証明してしまったかのような気がしてしまった。

不思議なことでも証言が2つになると

現実味を帯びてしまう…

私は嫌な感情を和らげたいがため

家族にその話を

なるべく明るく話した…

「偶然だ」とか「勘違いだ」

それくらいの回答でよかった

とにかく気を紛らわせたかった…

しかし母の言葉に

この話はさらに不可解さを増すことになってしまった

「ああ…あんたも子供の時に同じようなこと言ってたわ…」

以上

朗読: 朗読やちか
朗読: 繭狐の怖い話部屋

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