この話は15年前、僕が大学1年生の頃の事です。
熊本の某ピザ屋でアルバイトをしていました。 秋から冬に変わる11月頃、 少し肌寒かったのを覚えてる。 注文が来ると宅配バイクで届けると言う、この業界では良くあるタイプ。
宅配は5人くらいでやっていて、ある程度行く地域が分かれていたのだが、その日は3人しか居なくバタバタだった。
夕方日が暮れる頃、店に戻ると普段行かないエリアに配達に行くように頼まれた。 地図で確認するとバイクで15分位走った所の丘の上にある一軒家。
お客さん家に着いて外玄関を開け、玄関横のインターホンを押した。
玄関扉の横はすりガラスになっており、中の電気が点いている様子は無かった。もう一度インターホンを押し、少し大きな声で 〇〇ピザです、と言った後スグにドアポストに入っていたチラシか何かが、家の中にスっと入っていった。
顔を上げるとドキッとした。すりガラスの向こう側に人が立っている。 居たのかと思ったのだが一向に出て来ない。
なんだよーっと思い、1度敷地から出て店長に電話して、どう対処したらいいか聞いた。
結果自分が家を間違えていた。丘の上にもう1件そっちだった。
バイクに乗り移動しようと動き出しながら玄関を見ると人は居なかったが、ドアが少し空いていた。
念の為失礼致しましたーっと言って裏の家に回った。
配達先に到着しインターホンを押すとスグに出てきてくれた。少し遅かったねと言われたので正直に 裏の家に自分が間違えて行った事を話した。
お客さんは不思議な顔をし、僕に言った。
外玄関見れば、そこの家が違うの分かったでしょ?
っえ!? とした顔をすると、立入禁止のテープ 無くなってた?と聞かれ、普通に外玄関から入り玄関のインターホンを押し、人は出てこなかったが すりガラスの向こうに人が居て、ドアも少し開いた話をした。
さっき家に帰って来る時、裏の家の前通った際はテープあったのになぁっと教えてくれたのはこうだった。
5日程前にその家の3人家族が何者かによって 殺害されたとの事。
少しゾッとしたが誰か親戚か、警察が来ていたのか? っと思いお店に戻ろうと、お客さん宅を出てその家の前をまた通った時、体全体に稲妻が走って凍りついた。
さっきまでなかったはずの、立入禁止テープが外玄関にガッチリ 固結びしてある。
えっ違う家? と一瞬おもったが、 玄関も同じ。丘の上には2件しか一軒家はない、 正直頭の中は真っ白、何だったのか。
違う空間に行ったのか 不思議でゾッとした体験でした。ちなみにまだ犯人捕まってないとの事。