見えない何か

こんばんは。
小さい頃のお話なのですが今になっても不思議な事があったので書かせてもらいます。
私が小さい時、9歳くらいの時のお話です。

その当時は祖母と私の兄と3人で二階の寝室で寝るのが日課でした。
私も兄も祖母が大好きで毎日一緒に寝てもらっていました。
そんなある日、夜中(時計が1時だったのを覚えています。)兄に肩を揺すられ起きました。
寝ぼけていましたが、何で起こしたのかを兄に問い詰めました。
すると兄は小さな声で、ばあちゃんが闘ってるというのです。
はぁ?と兄が何を言っているのか訳が分からず困惑していると、
布団の上でばあちゃんが立ちながら何かを叫んでいます。
叫んでいることにも驚きましたが、ばあちゃんが叫んでいる方向にも驚きました。
ばあちゃんは窓に向かって叫んでいたのです。
しかもこれだけ大声で叫んでいるのに、隣の部屋で寝ている両親は一向に起きる気配がありません。
そんなこんなで困惑していると、兄が小さな声で説明をしてくれました。
どうやら兄は私が起きる少し前から目の前で繰り広げられている光景を見ていたそうです。

以下兄が見た出来事です。
兄が寝ていると、窓を叩く音で目が覚めたとのことで、その音が次第に強くなっていったそうです。
場所は二階でベランダも無いため、兄は怖くてばあちゃんにしがみつくしかなかったようです。
するとばあちゃんが、『怖がらんでええよ。』と兄の頭を撫でてくれたみたいです。
それで兄も少し落ち着きましたが、窓を叩く音は止むことがありません。
その束の間、窓の障子が少しずつ空き始めてきたらしいのです。
兄はその窓から目が離せなくなったらしいのですが、窓には何もいませんでした。
安心したのも束の間で、いきなりばあちゃんが聞いたことのない大声で何かを言い出したそうです。
そこで私を起こす所になります。

兄の話を聞いてもやはり幼かったので意味が良くわかりませんでした。
でも現にすぐ横で、ばあちゃんが叫んでいるのですから怖くない訳がありません。
兄弟2人でブルブル震えていると、やっとばあちゃんが何を叫んでいるのかが分かってきました。
そのままを書かせてもらうと、
『あんた、何をしに来たんや!こっち来んといて!』
『この子らに手ぇ出したら許さへんよ!』
こんなことを言ってました。
そこで私も兄もだいたいを理解しました。
あの窓の向こうには見えない何かがいて、
その見えない何かが私たち兄弟に危害を加えようとしているのだと。
ばあちゃんはその見えない何かから私たち兄弟を守ってくれているんだと。
ばあちゃん大好きっ子の私たちからすれば、
この時点でばあちゃんカッコいい!と素直に思いましたよ。
しばらくその闘いを見物していたのですが、一向にその見えない何かは帰ろうとしません。
するとばあちゃんは、
『ジャンケンで私が勝ったら帰ってや!』と何かに言いました。
半ば無理やりにジャンケンが開始されたのですが、
『私の勝ちや!二度と来やんといて!』とばあちゃんが叫んだので、
どうやらばあちゃんが勝ったのでしょう。
その様子を見て私たち兄弟は安心してしまい、直ぐに眠ってしまいました。
朝起きて、すぐにばあちゃんに、
昨日カッコよかったで!さすがばあちゃんやな!と言うと ばあちゃんは寂しそうな顔で笑ってくれました。
私たちはその寂しそうな顔を見て、不思議な気持ちになりましたが直ぐに忘れてしまいました。

それからです。ばあちゃんの体がどんどん悪くなっていったのは。
農作業を毎日こなし、重たい野菜なども軽々持っていたばあちゃんが
ほんの1ヶ月ばかりかで寝たきりになりました。
そして最後には話すことも出来ぬまま、死んでしまいました。
私たち兄弟は、ばあちゃんが死んでしまったのはあの見えない何かのせいだと確信がありましたが
怖くて親に相談出来ませんでした。

初七日も終わり、普段の生活に戻ったのですが、私の身に異変が起き始めました。
鏡を見ると自分の背後に何かがいるようなのです。
はっきりとは見えないのですが、何かがいるんです。黒い何かが。
それは歯を磨くとき、お風呂に入ったとき、鏡に写ると現れます。
私は28歳になりましたが、今でも鏡恐怖症です。
ただ30歳になった兄と最近話したのですが、実はあの時ばあちゃんは ジャンケンに負けていたんやないかと。
私たちを不安にさせないように勝ったと嘘をついたんとちゃうか?と。
あの寂しそうな顔はそういうことやったんかなと。

今となっては真相も突き止められないので、どうしようもないですが
今のところ私に直接的な害は無いのだけが救いです。

長文失礼しました。
この話を聞いて、そういう力を持っている方がいれば教えてほしいです。
よろしくお願いします。

朗読: りっきぃの夜話
朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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