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繋がる夢

夢から覚めた時、心臓がドキドキして恐怖に怯えているのに、
その時どんな夢を見たのか思い出せない事ってありますよね。

私の場合、10代の頃にそんな事が頻繁に起こっていました。
今回はその中でも最も気味が悪かった、説明のつかない出来事を話します。

19才の頃、私は何日も同じ悪夢を続けて見ていました。
目覚めると毎日ものすごい汗をかいて、
恐怖で心臓がバクバクいっています。
なのに夢の内容は全く覚えていません。
にも関わらず前に見た夢と同じものだというのは何故かわかりました。

そして毎回では無いものの、悪夢から目覚めた時にベッドの頭の所にあるポールを力一杯握り締めている事があり、
手を離すと余りに強く握っていた為か腕までジンジンと痺れているのでした。

既に一週間ほど悪夢を見続けていた頃です。
流石に疲れて来たのと気味が悪いのとで、どんな夢なのかを解明しようとノートと鉛筆を枕の横に置いて寝る様にしました。
飛び起きてすぐノートに覚えている事を書いて行こうと思ったのです。正直上手くいくとも思っていなかったのですが、
やってみると断片的にではありましたが1つ~2つほど覚えており、少しずつ記憶が戻ってくる様に思えました。

初日、ノートに書かれたのは『Y』でした。
それは親友の名前であり、夢に出て来ても何の不思議もない人でした。次の日飛び起きてすぐ書いたのは、昨日の『Y』の後に『怖い』という字でした。
怖い夢を見ている事はわかっていたので、夢の中で2人で何か怖い体験でもしているのかと思いました。その次の日は『引っ張られる』、その次の日は『本物?』『痛い』……。

驚くべきはノートに記録している間も毎日同じ夢を見ているという事でした。
ノートに書く様になってから何となくわかったのは、夢にはYが出て来る事、何かに引っ張られそれから逃れたくてベッドのポールを必死で握り締めている事。
どうも夢の中でYの事を偽者ではないかと疑っている事でした。

そしてその日の夜、やっぱり夢にYが出てきました。まだベッドで寝ている私に部屋の扉を開けた向こうから話しかけて来ます。

「早く起きて!もぅ!今日こそ行くって約束したでしょう!?」

Yが落ち着きなく声を荒げています。

「ん〜……んな事言ったっけ?待って……まだ眠い……」

「早くってば!!」

夢の中で『Yって勝手に人の家に入って来る様な子じゃ無いよね。どうしたんだろう。』とそんな事を考えていました。

「急いで!時間が無いから!!」

そうとう焦って私を急かします。
ところが私の目にはYの顔も姿もちゃんと見えているのに、今目の前に居るのがYじゃない気がしてしょうがありません。
目を閉じてYの声に集中すると、聞こえていたYの声が段々と低くなって行きます。しまいには中年のおじさんの声になっていました。
目を開けてYの顔を確認します。いつものポニーテールのYです。
でもその口から発せられる声はおじさんのものでした。

それを見た時、これはYではないと確信しました。咄嗟に枕をつかみ、Yに向かって投げ付けました。

「あんたなんて知らない!あっちへ行け!!」

と言いながら。枕がYの姿をしたその男へ当たった時、その顔が急変しました。
真っ赤になった中年男性の怒り顔、そこにはYらしさのカケラもありませんでした。

「この餓鬼がぁ!!!」

怒鳴られると同時に、自分の身体がその男が居る部屋の入り口へと引っ張られ始めました。
掃除機に吸い上げられる様な感覚です。私は慌てて頭上に手を伸ばし、ベッドのポールをしっかり掴んで必死に抵抗した所で目を覚ましました。

飛び起きた私はノートを掴み、Yの姿をした中年男性について書き込んだのです。これで夢の内容が全て思い出せました。
何故なのかはわかりませんが、思い出せたらこの悪夢と決別出来ると思っていたのです。
事細かに書き込んだ夢の話に目を通し、書き逃しが無いかを確認した後ノートを閉じて着替え、階下に降りようと部屋のドアに向かいそこで足が止まりました。

枕が転がっています。

……ゾッとしました。

自分が夢だと思い込んでいたのは、本当に夢だったのだろうか。
そんな言葉が頭に浮かんだものの、その恐ろしい想像を打ち払う様に頭を振り、枕をベッドに戻して学校へと向かったのでした。

それから数日して別々の進学先だった為に毎日会う事も無くなっていた親友に会った時の事です。
あの日から悪夢を見なくなっていた私は、この出来事をYに話そうとノートを持って行って見せたのです。

「この前2週間近く同じ悪夢を見てさ…」

と解説しようとした所

「説明いらない。」

と言われました。どうしたのかとYの顔を見ると、表情が固く強ばっています。背筋を冷たいモノが流れました。
そして次にYの口から出た言葉に絶叫しそうになりました。

「私、あなたの出てくる同じ夢をずっと見てる………。」

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