紫色のワンピース

私の母はよく言う「見える人」でした。
そのため私は幼い頃からよく体験談を聞かせてもらっていたので、
今回はその1つをお話ししたいと思います。

母は関西出身で、関東の大学に通うために上京しました。
今でもとても明るく、感じのいい母は友達にも恵まれ、大学生活をとても楽しんでいたそうです。
そんな大学生2年生の時、特に仲のいい2人の友人(共に女性)とスキーに行ったそうです。
到着していざゴンドラに乗ろうとした時、母は奇妙なものを目にしました。
立ち入り禁止のトラロープが引かれた数メートル先に、
真冬なのに裸足で袖の無い紫色のワンピースを着た、黒髪の女性が背を向けて立っていたのです。
母は2人に「ねぇ、あの人大丈夫かな?」と尋ねると、
2人はきょとんとした様子で「何が?」と言うのです。
母が振り返ると依然としてその女性はまだそこに立っていたそうです。

そのあと何度も2人に説明しましたが2人には結局見えなかったそうです…
これが私の知る、母の体験談の1つです。
まだいくつかあるのですが、それはまたいつかお話しします。
最後まで読んだいただきありがとうございました…

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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