姪が体験した話です。 その日、姪はかなり遅い時間に帰宅しました。 家族はもう寝てしまったらしく、家には何の灯りも点いていなかったそうです。 そんな中、玄関先に向かうと足もとにすっと飼い猫が鳴きながらすり寄ってきました。 「お迎えご苦労様~」 姪は座り込んでその飼い猫を撫でていると、遠くの方から道を歩いてくる足音が聞こえて来ました。 こんな遅い時間に誰だろうと思っていると、その人は変な歩き方をしていたそうです。 「変って?」と私が聞くと、 「うーんとね。ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。ちょっと間があって、 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。それを繰り返しながら、こっち来るのよ」 そう姪が説明してくれました。 深夜、その人は道路を「4歩づつ歩いては止まる」を繰り返していたそうです。 姪の家の玄関は、門から斜めの位置なので、道路は僅かしか見えませんが 姪はその足音の不気味さに、その道路から目が離せずにいました。 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。 (どうしよう・・・) 姪は家に逃げ込みたかったのですが、 もう家の門の近くまで足音は近づいていて今から鍵を開けて中に入る事が出来ませんでした。 姪は恐怖と緊張で、身動きが取れなかったのです。 すると、不意に足音が今までのテンポからごく普通の足音に変わったそうです。 ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・。 そして、その人は何かを呟きながら、通り過ぎていきました。 「その人は良く見えなかったんだけど、もう、心臓が止まるかと思った。 何て言ったかは聞こえなかったけど、女の人の声だったんだよね」 不気味な事にその女性は家の前を過ぎると、 またあの4歩進んで止まる変な歩き方に戻って行ってしまったそうです。 (こっわー) 姪は道に出て確かめる勇気も無く、慌てて猫を抱き、家に逃げ込んだそうです。 「でさ、その人何て言ったんだろうって考えたんだけど」 姪が私の顔を見て言います。 「こんばんはって言ったのかなって・・・私の事気づいてたよね」 姪の顔は恐怖に歪み、青ざめていました。 姪はそれから遅く帰るときは、速攻で家に入るそうです。 |