友人から聞いた話です。

ある熱い夏の昼間、友人は夏になるとホラー映画やその類を夏に見るのが大好きで、その日も見ていたそうなんです。
普段はヘッドフォンで臨場感を楽しむスタイルだったのですが、なぜかその日はスピーカーで聞いていました。

自室で病院モノのホラーを楽しく鑑賞していると
ふと「ぺたっ、ぺたっ、ぺたっ」と後ろの廊下を誰かが「裸足で」通る音が聞こえた。
自分の部屋の前は長めの廊下になっており、
家族が誰かしら通る際は歩く音が聞こえるのだそうで、
「ああ、また家族が誰か通ったんだな」
と、いつものことなので気にも留めなかったそうです。

またしばらくすると「ぺたっ、ぺたっ」という音が聞こえました。
明らかに音でわかります。この部屋の目の前で止まった。
ドアはあいていたので、なぜ声を掛けないのか気になってしまい、くるりとうしろを向いた。
けれどもそこには誰もいなかったんです。
確かに裸足の誰かがそこにいたはずなのに。
気になった友人は立ち上がって居間に行き、家族に尋ねたそうなんです。
「誰か今廊下歩いた?」と。
けれども家族のだれも、廊下を歩いていないというんです。一人も。

おかしいなあと友人がぼやいていると父親が聞いてきたそうなんです
「さっき廊下歩いてたのお前じゃないのか?」
聞くと父も廊下を歩く裸足の足音を聞いており、それを友人だと思っていたそうなのです。
「いや俺じゃないよ、俺自分の部屋にいたんだし。動いてないよ」
その話はそこで切り上げ、友人は自室に戻りまたホラーモノの鑑賞をし始めたのですが
ふと、思い出したのです あの歩く足音を。
「ぺた、、、ぺた」
「ぺた、、、ぺた」
「そういえばあの足音」
「片足の音しか聞こえなかったな、」
まるで、片方の足がない人の歩いた音のような、そんな音だった。

一体、誰が廊下を歩いていたのでしょうか。
友人はまだその家に住んでいます。

余談ですが、その家の隣は病院だそうです。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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