知ってしまったら…

これは 息子から聞いた話です。

息子が地方の大学に通っていた時、借りていたアパートの契約更新を機に、
もっと便利な場所にアパートを借り直そうといくつか見せてもらった中から
条件に合った部屋を借りました。

生活し始め、いつもとおなじパターンの生活スタイルを送っていましたが、
毎日ポストに以前住まわれていた方の郵便物が入っているのがきになり出し、
はじめは その方には悪いのですが、重要でなさそうな葉書は捨てていたそうです。
が、そのうちに法律事務所や銀行からの郵便物も入るようになり、
重要そうなモノは紙袋に入れ、時間があるときに郵便局に持って行こうとためていたのだそうです。

『それにしても住所変更届け出してないのかなぁ』
と、前人の名を改めて見ていると、今息子がいってるバイト先のひとつの、
スーパー銭湯で働くおばちゃんと同じ名前だと気がつき、
その束を持って、シフト日にバイトに入りました。
『店長この住所と名前ってここで働く ooさんじゃないですか?』
店長は確認の後、
『そうそうそぅだね』
『住所変更されてないのかずっと郵便物が届くんですよ。
最近シフトの時間変更されたのか会えないので この郵便物渡してもらえますか?』
『アァ知らなかったか…ooさん癌で亡くなられてね半年くらいになるかなぁ 』
『え?』

その夜からです。毎晩金縛りが始まったそうです。
寝不足が続き、精神的にも疲れはじめ、どうしていいか分からず、
洗面所でクマのできた顔をみながら歯を磨いて大学に行く準備をしていたのですが、
洗面台の水が落ちていかず、洗面口をさぐっていたら
長い女性の髪の毛が詰まっていたのだそうです。
『普通次に貸す前に掃除入れるやろ』
息子は排水口の掃除を済ませ大学へ。
息子をみた大学の先生は
『ooちょっと裏の神社行こうか…散歩がてら…』

で、大学の先生が何故か息子を大学の裏にある神社に連れて行ってくれたそうです。
神社につくと、ちょうど神主さんが現れ、
息子は神社の神主さんに毎晩金縛りに合う事、もう体力も心もボロボロな事を一心不乱に話のだそうです。
神主さんは『きくかどうかわからないけど これ持って帰りなさい』
と、部屋に置くお守りと身に持つ送りをくれたのだそうです。

その夜から金縛りにはならなくなったのだそうです。
郵便物が、バイト先で一緒に働いていた方だと知らなければ、
金縛りにはならずに住んでいたのでしょうか?
知ってしまったとたんに金縛りに合うはめになったのは、何故何故なのだろうと話してくれてました。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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