ヤバいバイト先

今となってはいいネタになるので話していきたいと思います。

僕が大学生の頃です。
その日の働いていたラストのシフトメンバーは全員同じ大学の男友達でした。
ここではTとSとします。 僕はSに誘われてバイトを始めました。

近くに人気のファミレスがあり平日は特にすることが無く、
休日は近くの人気店から溢れた客を捌くだけで、わりと楽な仕事でした。
その上社員さんが月に1,2回顔を出す程度で、ほとんどバイトのみで回していたため、
休みの融通も利き、楽して稼げるいい環境だったと思います。
そのあと、同じ大学に通うTが入ってきました。
Tはファミレスでのバイト経験があり、最初こそ色々覚える事が多いため忙しそうにしていましたが、
出勤3日目くらいには余裕で閉め作業もこなせるようになっていましたので、
わいわい騒いだり歌を歌ったりしながら閉め作業をしていました。

そして冒頭に繋がります。
いつものように歌いながら、 僕とTはキッチン、Sはフロアで閉め作業をしていると、
突然遠く離れたキッチンのシンクの台を、 「ダンッ!」 と、叩いたような大きな音が鳴りました。
僕とTは洗い場の方にいたので音のした方は反対側でした。
しかし、Tは霊感なんて持ち合わせていないものでして、 あまり気にしない形でまた歌い出したんですね。
Sに関してはフロアにいたので知らなかったみたいです。
小心者の僕はちょっぴり怖かったんですが、肝が据わってるTと天然のSは笑って、
「心霊現象じゃん心霊!」 と、一蹴してしまうような感じで各々騒ぎながら仕事に戻りました。

仕方ないので気にしないように、洗った鉄板を焼き場の方へ持っていき、また洗い物に戻ろうとした時、
「うるさい」 と、女性の声で右後ろの方から囁かれました。
びっくりして声を上げてしまったのですが、
振り返ってもそこには業務用冷蔵庫とレンジしかなく、何より男しかいないのです。
あまりの僕の驚き様に、またもTとSは嘲笑気味だったのですが、
Tが 「写真撮ってみよーぜ」 と言い出して、携帯のカメラで数枚撮りました。
撮った写真はあからさまに気持ちの悪いモノとなっているのが1枚あり、僕らは絶句しました。

その写真にはガラスに反射してSとTが映っているのですが、Sの膝から下が映ってないんです。
Tは眼鏡をかけて撮影したのですが、顔が歪み、眼鏡をかけているのか、
はたまた、別人なのかって言うくらい顔が変わっていました。
そして何よりTの肩には男の人らしき顔がくっきり乗っていました。
さすがにSはびびっていましたが、Tはいいモノが撮れたと喜んでいました。

しかし、 帰りがけに電気のチェックをしていると、インターホンの音が不協和音で鳴ったりしました。
レジの前の電気をつけるとインターホンが3回なる仕様になっているのですが、 その時の3回目の音だけは、
「ピンポーン、ピンポーン、ピンポぉぉぉーん⤵︎」 と、異質な音がしました。
この時はさすがのTも含めて3人ともびびっていたので、 それぞれ即行で帰路に着きました。

後日、僕の彼女の知人に除霊出来る方がいたので、 「聞いてみて」 と、写真を送ってもらいました。
返信はその日のうちに返してもらえたらしく、内容を見てせてもらうと、
そこで僕はまた少し、背筋が凍りました。
その時の返信をそのまま書きます。
「そこそこのが居ますね。 実害が出るようでしたらすぐに見せに来て下さい。」

それから数ヶ月は働き続けたのですが、 急に激務になり、
忙しさのあまり体調を崩して鬱病のようになったり、
3ヶ月で2回事故をしたりと、 いろいろあってそこのバイトを辞めました。
体調は本当に激務のせいなのか、事故は自分の不注意なのかと、
思うところもあるのですが、 今は元気にやっております。

僕は今でも、返信を見た彼女の言葉を思い出します。
「そこそこヤバいのがいるのか、そこそこの数がいるのか、どっちなんだろうね」 って。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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