286 views

それ私の部屋?

地方都市でフリーターをしていた頃の話です。

コーポ〇〇という3階建ての建物の3階に一人暮らしをしておりました。
JRの線路沿いで、周りは新旧入り混じった戸建てばかりの住宅街。
時々2階建ての小さなアパートがある他は、隣に大きなマンションがある以外あまり高い建物がなく、
見晴らしが良いので気に入っておりました。

休みの日、DVDを見ながらコーヒーを飲んでいると、玄関でチャイムが鳴りました。
基本的に訪ねてくる人はいませんし、荷物などが来る予定もありませんでしたので、
不思議に思い少しグズグズしていると、さらにもう一度チャイムがなり、ドアを叩く音がしました。
何事かと思い、慌てて向かうと、そこにはおまわりさんと二人の小学生が立っておりました。
「はい、なんでしょうか」 と聞くと、おまわりさんが
「すみません、この建物の3階で、女性が自殺しようとしていると通報がありまして、念の為ご訪問させていただいたんですが…」
「はあ、自殺ですか…」
「えーっと…あの、失礼ですが、自殺しようとしてたわけではないですよね?」
なんだそりゃ、と思ったが
「はあ、してませんが…。それ、この部屋で間違いないんですか?」
「そのようにきいております、いや、違うならいいんです。失礼しました」
おまわりさんは子供たちをちらりとみてから、お辞儀をして帰っていきました。

ドアの隙間から帰っていく3人を見送ると、階段を降りながらおまわりさんが小学生に何かを言い、
小学生が 「だって本当に…」 とか 「こっちにきて見てよ!」 とか言っており、
その後ベランダに回ると、下の道から3人が私の部屋のベランダを指差して何かを確認しているのが見えました。

この部屋には4年ほど住みましたが、計4回、同じようなことがありました。
通報者を伴ってやってきたのはこのときが初めてだったので、
もう少し詳しく彼らに聞くべきだったなと後悔しています。
彼らが見上げていた場所からは、私の部屋のベランダしか見えません。

奥から二番目の私の部屋のベランダで、彼らは何を見たのでしょう。
洗濯物も干してなかったし、カーテンを締め切っていたし、心当たりは全くなかったのですが…。

朗読: 榊原夢の牢毒ちゃんねる
朗読: 怪談朗読と午前二時

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

産まれる前にした約束

大根の人

祖母

身内の亡くなった時の小話

3度の臨死体験