博多人形

私には、現在霊感はありません。
ですが小さい頃には少し霊が見えていました。
その中で一番怖かった話しをしたいと思います。

あれは私が小学3年生の時の事。
私は博多っ子で、母は趣味で、近所の集まりで博多人形を作っていました。
私の部屋には、母が作った博多人形2体が、それぞれガラスケースに入れられ、飾られていました。
一体はピンク色の着物を着た博多人形で、顔は18くらいの、少しふっくらした感じの博多人形でした。
もう1つは空色の着物を着た博多人形で、こちらは20代半ばに見え、
ピンク色の着物の博多人形に比べて、顔も冷たい感じの博多人形でした。
私の部屋は、壁の一番端が1メートル幅くらいの、ドア式の押し入れがあり、
その横に大きな本棚、その前に平行してベッドが置いてありました。
なので、押し入れとベッドの間には、四角い空間ができるわけです。
その空間は、電気を消すと不気味な程に真の闇になりました。

ある夜、私は部屋の電気を消し、ベッドに潜りこみました。
私は床についても、なかなか眠れないほうで、
その日もベッドに入ってまだ5分くらいしか経っていなかったので、目は完全に覚めていました。
すると私の耳元でいきなり、ブツブツブツ!と縄が千切れるような音がしたかと思うと、
その四角い空間がスパークしだし、そのスパークの中に、
ガラスケースに入った空色の着物の博多人形が、点いたり消えたりしていました。
その空間はスパークの光で異常なほど明るく、耳元ではブツブツというラップ音は鳴り続けていました。
私は怖くて咄嗟に布団を頭から被り、その間にもブツブツというラップ音は続いていました。
ふと、音が止み、そ〜っとその空間を見ましたが、そこには闇があるだけでした。
私はそこで気絶したようで、朝、母の声で起こされました。

部屋にはピンク色の着物の博多人形はありましたが、空色の着物の博多人形はありませんでした。
意識していなかったので、その日まで気づきませんでしたが、
空色の博多人形は、もうだいぶ前からなかった事に、改めて気づきました。
母に「空色の博多人形はどうしたの?」と聞くと、
母は「古くなったから随分前に捨てたよ」と言う返事が返ってきました。
夜の事を両親に話しましたが、信じてはもらえませんでした。

多分ですが、母は博多人形を供養しないまま、ゴミとして捨てたのでしょう。
家族は両親と私しかおらず、見えやすい子供の私の所へ来たのではなきでしょうか。
なぜ、ゴミとして捨てたのか、と。

人の形をしたものには魂が宿りやすいと言います。
古くから飾っていたその人形にも、魂が入っていたのでしょうか。
今から人形を捨てようと思っている方、捨てる際には供養して処分される事をお勧めします。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

閉じる