友人でない何か

これは私が大学1年生の時の話です。

当時、私は実家暮らしで休みの日は高校時代の友人と通話しながらオンラインゲームに明け暮れる日々を過ごしていました。
その日も友人と二人で夜遅くまで通話をしており、明日はお互い予定がないという事で私の家で遊ぼうということになりました。
その時、私は「朝から遊ぼうぜw午前5時位からうち来いよw」と冗談まじりに言ったのですが、
ノリの良い友人は「うっしゃ、行ってやんよ!ちゃんと起きてろよ!」と行く気マンマン、
私はそう言いつつまぁ来ないだろうと思いながら
「家の鍵開けとくからもし俺が寝てしまって反応無かったら勝手に入ってくれよな」と言い通話を終わりました。
その時点で既に午前3時頃だったと思います。
私は友人に言った通り家の鍵を開け漫画を読んで時間を潰していたのですが、いつの間にか眠ってしまっていました。

そのまま寝落ちして数十分後、なんと家の門がカシャン…と開いた音がして私は目を覚ましました。
「おいおい、あいつマジで来たのかよ…」
時計を確認すると丁度午前5時、明らかに友人だ…。
私の部屋は玄関入ってすぐ右にあるので扉の前で部屋に入ってくるであろう友人を待っていました。
家の門から玄関への砂利道を歩く音、玄関の扉を開けた時に鳴る鈴の音、
そして部屋の扉の向こう側で友人はこの状況が面白いのかクスクスと笑いを少し堪えているような声が聞こえ
「来た…!!」と思い私はなんだか嬉しくなってしまい
「おいおい!マジで来たのかよ〜!!」と部屋の扉を開けました。
しかしそこには誰もいませんでした。

「……?」
状況が全く把握できず、少しの間棒立ちして「ドッキリか?」と思い友達に携帯で電話をかけると、
凄い不機嫌そうな声で「なんだよこんな早くに…」と言われたので「え?お前どこに隠れてるんだよw」と聞くと
友人は「…?俺今寝てたとやぞ…そんな朝早くに行くかよ〜」と気怠げに答え通話を切ってしまいました。
私は更に混乱して「もしかして寝ぼけて現実と夢がごちゃごちゃになったのか?」と思い
先程起こったことは自分の思い違いかと思うことにしようと思ったのですが、私は玄関を見てゾッとしました。
玄関の扉が開いていたのです。
更にその先の家の門も全開だったのです。

門や玄関を開けた音は実際に現実で起こったことだとするなら、
自分の部屋の前でクスクスと笑っていたものは一体何だったのか、そして私はそれを自分の部屋に入れてしまったのです。

その後、これと言った霊体験や何か感じた事はないのですが、不思議な体験でした。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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