祖母と通夜

先の小話で言ったオマケの話。

2年前、母方の祖母が亡くなった。
私が初孫で可愛がってくれたのだが、可愛がり過ぎて、私は過干渉、過保護な祖母が嫌いだった。
そんな祖母もある病気で痴呆が進み病院で
「ウチに女の孫はいない。男の孫だけだ!」 と大声で叫んで、
見舞いに行った私を「他人」と言い切ったのを境に、その病院にも一切行かなくなっていた。

それから約10年経った2年前に亡くなった。
母も祖母と同じだろう病気をこの数年に発症して、痴呆と精神が不安定。
父は母に付きっきり。 お通夜の役目は一人っ子の自分に来た。
やれやれと思いながら、ご遺体の側に布団をひいてもらって、会館のその部屋で就寝。

0時過ぎだった気がする。
ウトウト寝ていると、トントン と肩を叩かれる。
まるでちょっと呼ぶ時に肩を叩くような感覚。
「何?どしたん?」
言いながら照明ガンガンの部屋の中をぐるっと見廻して、最後にご遺体を見る。
心なしか表情が嬉しそうである。
対する私は、起こされて不機嫌。 線香が消えてない事を確認して、再び就寝。

30分後 また肩トントンで起こされる。
部屋とご遺体、線香を確認して再び就寝。
1時間後 肩トントンに「◯◯(私の名前)、ねぇねぇ」 と祖母の声で起こされる。
棺の中の祖母の顔を見ると、若干口元が嬉しそう。
私は3度起こされて、不機嫌が急上昇。
線香をみると少ないので新しいのに替えて、再び就寝。

1時間後 肩トントン再来。
無言で布団から出て、棺の祖母を見ながら言った。
「婆さん、明日…いや数時間後に貴女(あなた)の葬式なんだよ。
本番で居眠り出来ないんだから、少し寝かせてもらっていいかい?
線香消えそうなら起こしていいから。それまで起こさないで…」
そう言って祖母の顔を見ると、相変わらずな嬉しそうな顔。
ため息と共に布団に潜るも、朝の6時まで1時間置きに起こされて続けたので、まともに寝れるわけもなく。
葬式当日のお坊さんがそっと声をかけて下さいました。
「えらい眠そうやけど、大丈夫ですか?」
「通夜してたんですけど、1時間毎に祖母に起こされて寝不足です。すいません」
「お孫さんが居てくれて嬉しかったんでしょうね。お勤めご苦労様でした。あまり無理せんように」
「ありがとうございます」
そんな出来事があったけど、無事に葬式等は終了。
その日は家でゆっくり寝ました。

心霊現象が『日常』なので私にとっては寝不足な出来事ですが、
慣れてない人が同じ目にあったら怖いんでしょうね…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

閉じる