ループ

専門学生の時の話です。
私は専門学生で片道2時間かけて京都の学校へ通学していました。
就職先も決まり、国家試験の勉強をしながら某回転寿司チェーン店でバイトをしていました。

深夜1時ごろ、やっとラスト作業が終わり帰宅した私は疲れ果てて、シャワーも浴びずに布団に寝転がってしまいました。
当時私は実家に住んでおり、一人部屋だったのですがとても狭く、押し入れに布団を引いて寝ていました。
身長が155センチあるかないかの私が足を伸ばしてちょうどぐらいの押し入れでした。
押し入れ奥の壁に向いて眠りに落ちたは、ふと、 トイレに行きたい。 と思い、
起きるの面倒だなと思いながら体を起こそうとしました。
ですが体が動かないんです。
あ、これ疲れ過ぎて金縛りになってるな。と思いました。
物心ついた時からオカルトが大好きな私ですが、霊感はあまりありませんでしたし、
眠すぎて怖いという気持ちにはなりませんでした。
うわぁ、どうしよ、ほんとに動かないな。と、真っ暗な部屋で押し入れの壁をずっと見つめていました。

すると、ふわっと金縛りが解けて、押し入れから降り、階段をくだった。
と思ったら意識が金縛りにあっている自分に戻ってきました。
夢と現実を行き来していて、自分が今からしようとしていることを夢の中でしていました。
気持ち悪いなぁ、 と思っているとまた、体を起こし階段に向かう。
また意識が横になっている自分に帰ってくる。
といったように何度も何度も夢と現実を行き来していました。
やばい、本当に漏れそう。 と焦れば焦るほど何度もループして、金縛りあっている私の脳はフル回転。
意識がどんどん鮮明になっていきました。
次こそ本当に動こう、 と思うのですがまた夢です。

そこで、次現実に戻って来たらとりあえず上向きになろう。 と思い何度かループしながら えいっ!と上向けになりました。
あぁ体動くじゃん。 そう思った瞬間またトイレに向かおうとする私。
次は足が動きません。
え、なんで? と疑問に思った瞬間、足首に冷やっとする感覚がありました。
長ズボンで、しかも靴下も履いたままなのに氷を押し当てられたように両足首が冷たいんです。
うわ、これ嫌なもの見るパターン? と思いながらも、恐る恐る目だけで足元を確認しました。
真っ暗な部屋なのに、私の両足首をガシッと掴む青白く光っている手が見えました。
う、うわぁ見ちゃった、どうしよう。 と焦っていると部屋のドアの方に気配がしました。
音もせず、ただ、ドアを少し開けるともれてくる廊下の明かりが見え、
え?まだ幽霊いるの?! と目線をドアに移すと、そこには母が立っていました。

お母さん、助けて!! そう言いたいのですが声が出ず、相当しかめ面をしていたと思います。
なのに母は真顔で、ただただじーっと私を見ています。
深夜に帰って来て両親は隣の部屋で寝ているはず。
その寝ているはずの母が全く表情を変えずじーっと私を見つめて来ます。
その時、 あれはお母さんに見えるだけでお母さんじゃない何かだ。 と思いました。
そう思うと怖くなり、まだ両足首は掴まれたままの状態で意識がなくなりました。
また目が覚めると真顔の母。
何十回繰り返したか分かりません。もう私は泣いていました。
早くこのループから抜け出したい、戻れなくなったらどうしよう、どっちが現実なの?? とパニックでした。
体感時間はとてつもなく長く、 このまま夜が明けてしまう。 と思いました。

その時、ピコンッと耳元に置いた携帯からメッセージの通知音が結構な大音量で鳴り、
ひぇゃ!!という声にならない声が出てびっくりしたと同時に金縛りが解けました。
もう足もつかまれておらず、ドアも開いていない。
私はバタバタと起きて自室の電気をつけ、両親が寝ている部屋を見に行きました。
両親は何事もなく眠っています。
さっきまで起きていたような感じもなく、ぐっすりでした。
それから足早にトイレに向かい、用を済ませました。
怖くて押し入れに戻っては寝れない、、どうしよう。
両親の寝ている部屋で寝ようかな。。と一瞬考えましたが20の娘が両親と寝るのは、、 と気が引けてしまいやめました。
携帯で友達に電話をかけ今あったことを話し、私が寝るまで電話してて欲しいとお願いし、
掛け布団だけズルズルと押し入れから下ろし、その日はフローリングの上で寝ました。

次の日、母に昨日あったことを一通り話すと、 やめてよ、怖いなぁ。 とだけ言われました。
それからというもの金縛りの癖がついたのか、すぐ金縛りになる体質になってしまいました。
図書館で国家試験の勉強をしており、疲れて机に突っ伏していると金縛りになり、
あの夜と同じように冷たい手がわたしの足首を掴んできます。
私ってもしかして、霊感あるんでしょうか。
それと、取り憑かれてるんでしょうか?

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