間違い電話。

不思議な体験でしたので。

数年前になりますが、遅く起きた休日、タバコを吸いながらボーッとしていると携帯電話が鳴りました。
知らない固定電話の番号でしたが、何となく出たんです。
携帯から聞こえた声は聞き覚えのない御老人で、
早口で捲し立てる様に、ほのかに高揚している様な声でした…

「あっ!〇〇ちゃん?今着いたから‼︎〇〇ちゃんも、もう直ぐ着くからね!待ってるからね!」
『あ…もしもし?どちらへおか…』
「〇〇ちゃんでしょ?大丈夫だから待ってるからね‼︎」

「もしも〜し…あの…」 と言いかけたところで電話が切れてしまいした。
耳の遠くなった御老人が、取り敢えず要件だけ伝えて電話を切った。そんな感じの間違い電話でした。
私は、もし待ち合わせでこの電話を待っている方が居たら可愛そうだなぁと思い、〝リダイアル〟で掛けたんです。
数回のコール音の後に電話に出た相手に私は困惑してしまいました。

「お電話ありがとうございます、〇〇仏具店でございます。」
「…あ…の…あっすみません…先程こちらの番号からお電話頂いたんですが、
多分…間違い電話ではないかと思いまして電話したんですか…」
「あ、そうですか、わざわざすみません」
「お電話の内容からそちらにいらっしゃるお客様が、お店の電話で連絡してきたんじゃないかと思いまして、
もしお客さんがまだ居るならば伝えて頂けるとありがたいんですが…」
「はぁ…さようですか…えっと…まだ店内には…お客様は…
いらっしゃらない… ですがわざわざお電話ありがとうございます」
「…いえいえ…ではよろしくお伝えください。失礼します」

ん?なんだかふわふわした対応に、その電話番号からお店のホームページを探して少し寒気がしました。
開店前でした。

なんだったんですかね?

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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