郵便屋さんの不思議体験①

僕は郵便配達員。

担当している地域は全国的にも有名なオカルトスポットなどもある山奥で、かなり特殊なエリアを担当させて頂いている。

そんな僕の「配達中のちょっと不思議な体験談」を語らせて頂きます。

僕がまだ新米だったころのはなし。

Kさんというご老人夫婦宅があり、80代のお爺さんとお婆さんの二人暮らしで、通常郵便は電気代や水道.ガス代くらいしか届かない配達先。

そんなお宅に珍しく日付と時間指定で小包が届いた…。

お届け先はKさん宅のお爺さん宛。

送り主はKお爺さん本人。

つまり自分で自分に小包を送ったのである。

最近ネットショッピングの普及で当たり前となった「御本人さまからの小包」。 もちろんなんの疑問もなくKさん宅へ配達に伺った。

郵便局からKさん宅まで20分。

山奥の一軒家に到着し、昔ながらのピンポンを押す。

しばらくして玄関の電灯が泊りお婆さんの声が…

お婆さん「どちらさまかね?」

僕「日本郵便です。本日指定の小包のが届いておりまーす」

お婆さんはすぐに玄関を開けてくれ、対面することができた。腰の曲がったお婆さんは優しい笑顔で迎えてくれた。

僕「Kお爺さん様へ、小包が届いています。」

お婆さん「どちらさんからかね?」

僕「御本人さまからです。」

お婆さん「本人?中身はなんね?」

僕「桃って書いてありますね」

黙るお婆さん。

お婆さん「送り主が爺ちゃんね?」

僕「はい。御本人さまからの小包となってますよ」

お婆さん「いつ送った物な?」

僕「発送日はおとといですねー」

お婆さんはしばらく考えたあと、家の奥の仏壇を指差してこう言った…

お婆さん「爺ちゃんね、2ヶ月前に死んだんよ。爺ちゃんがおととい小包だせんはずやしねぇ、でも、爺ちゃんは私の好物の桃をあの世からくれたんやろねぇ。有難いけんもらっとこうかねぇ」

なにがどうなって2ヶ月前に亡くなったお爺さんが お婆さんの好物の桃の小包を送れたかは局員の間で謎になりました。

でも、そのお宅に関わる配達員全員が、大好きなお婆さんのためにあの世からお爺さんが贈り物をしたのだと信じることにしました。

いまでもお婆さんは元気です。

曲がった腰を叩きながら、畑仕事に精を出しています…。

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