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惚れて憑いて来たお稲荷様

誕生日に妹と伏見稲荷大社に行った時に体験した話。

私は2つ下の妹とよく京都に旅行に行くのが好きで、
自分の誕生日が来たら必ず行き先は京都にするって前々から計画していました。
今回はちょっと路線を変更して、夜の伏見稲荷大社に行ってみようって事になった。

夜の7時頃、阪急河原町駅から京阪に乗り換え、
予約していた居酒屋に行くまでの時間を利用して伏見稲荷に向かう私と妹。
昼間とは打って変わり、雰囲気が映画村のお化け屋敷よりも何だか不気味に感じて、私は行く前から足が竦んでしまった。
「こ、こ、こ…怖い… 昼間の賑やかさと全然違うから…」
「姉ちゃん、ホント怖がりだねー」
「だって、ユウちゃん(妹の名前)がいけないんだよ! 此処に来る前に話してくれた、ツイッターでの体験談が…。 
それと同じ目に遭ったらどうしようって」
「大丈夫でしょ、そんなの」
楽観的な妹と違い、私は結構怖がりな方だった。
双方している内に、伏見稲荷大社の前に差し掛かった。
参拝客はちらほらいるものの、やはりインスタやツイッターに挙げる為なのか、
写真を撮ってる人が何人かいたけど、私は神様に失礼だと思って一切スマホを使わなかった。
「(神様に失礼だと思わないかな… そもそも、夜の神社の写真を撮るのも参拝のマナー違反じゃなかったっけ…)」

妹がスマホで写真を撮ってる傍ら、私はふいに目の前の大きな鳥居を見上げた。
そう… 見えてはいないけど、誰かの視線を感じたからだ。
「(鳥居の上に… 誰か見下ろしてる…?)」
気にも止めず、私は再び妹と千本鳥居に向かって歩き出した。
しかし私の足は何故か勝手に、参拝するはずであろう逆の順路に向かって足を進ませていたのだ。
すると妹は、
「姉ちゃん!勝手に進まないでよ!! 大体、何処に向かおうとしてるの!? 
あっちは逆の順路じゃん! 逆の順路に行ったら、霊に連れて行かれるぞ!」
「え」
妹の話を聞いて、私は一瞬背筋がゾッとした。
しかしこれが、予兆とも知らずに…

千本鳥居をくぐって、中枢に来た時だった。 私は霊こそ見えはしないけど、何かを感じる気配だけは持ち合わせていた。
鳥居の周りに…大勢のナニカが取り囲っている 動物…だろうか?
犬くらいの大きさの動物が、数百匹くらい群れて私と妹の周りを取り囲ってる感じが漂った。
「(…ああ、いるなぁ… 狐が沢山…)」
大したこと無いだろうと気にせずにお参りをして、来た鳥居の道を引き返した時、
私と妹の間に誰か憑いて来てる気配がした。
そして…手を握られてる感触も感じた。
「(…やばい… 完全について来てる…)」
私が何か連れてきたと分かった妹は、急に背中を叩いてきた。
御祓いのつもりらしいけど、私は妹にこう説明する。
憑いて来たのは悪い霊ではないと。
「姉ちゃん、また連れて来たな!?」
「違うよ。 彼が勝手に憑いて来たんだって」
「…….。 男の霊か?」
「っぽいなぁ。 私より背が高くて、同い年くらいの男の人で、紋付袴着てる」
「紋付袴って… それ婚礼の時に着る服だぞ、男の人が」
「は?」
一体私は稲荷大社で何を連れて帰ってしまったのか… 電車の中で色々考えていると、
私の手をずっと繋ぎ続けている霊…らしきものは、やがて私に色々話しかけて来た。
(声は聞こえないけど、波長で何となく会話がわかる)
「”この鉄の箱舟は、何ていうんだ?”」
「(私に質問してる…? それにしても電車を鉄の箱舟って言うか…)電車だよ、便利な乗り物」
すると会話を聞いていた妹は、
「お前、古風な言い方するんだな。昔の奴か?」と質問し、
私は、 「狐さん曰く、昔の人だって。さっき車も怖がって、後ろで怯えてたよ」
と妹の質問に代わりに答えた。
そしたらまた狐さんは 「”今から何処に行く?”」と私に聞いてくる。
「今日は私の誕生日だから、予約した居酒屋に行くんだよ」と。
すると、繋いでいた私の手が大きくブンブンと勝手に揺れ始める。
(勿論自身の意思で揺らしていない)
「(ああ… 嬉しいんだね)」

感情で何となく分かって来た私と妹は、見えないナニカと一緒に入店する。
パッドから船盛りとお寿司を注文し、料理が来るまでお通しを頂いた。
お通しの品は、茶碗蒸し。
私が先に一口食べた時、隣にいた狐さんは 「”私も食べてみたい”」と強請って来る。
仕方なく私は一口分スプーンに取って、”あーん”と見えない物体向かって料理を差し出した。
「”美味い美味い”」
狐さん、ご満悦のようだ。
暫くして豪華な刺身の盛り合わせとお寿司が来た時、また狐さんが
「”今宵は宴か?宴じゃな、この者の”」と話しかけてくる。
「そうだよ、今日は宴だよ」って私は答えた。
…もう、宿に戻るまで何も気にしないことにした。

予約してた民宿に戻り、お風呂から出て私は勝手に憑いて来た狐さんに対して
「狐さんは、どんな見た目をしてるの?」と質問した。
すると時間つぶしの為にペンと紙を持って来ていた妹は私にペンと紙を差し出し、
「狐さんはどんな見た目をしてるのか」という質問に対して、
まるでコックリさんのような状態で狐さんは私の身体を借りて憑依し、物凄い速さでシャーペンを動かして…
輪郭・髪型・耳・顔つき・着物の順番に書いていったのだ。
(普段の私は、絵を描く際早く書いたりしない 描いている最中、
私の心臓はドッ、ドッ、ドッ、ドッ…といつもより鳴り続け、鼓動が早かった)

出来上がった絵を見て、私は傍にいるであろう狐さんの顔を照らし合わせる。
「…こんな…顔をしているんだ…」
もっと怖い姿を想像したけど、何だか私の好きな某刀の擬人化したゲームのキャラによく似ているなぁ~と思った。
すると狐さんは、私にまた何かを告げてくる。
「”私の肖像画を小さく折り畳み、御守袋の中に入れて、お前の大事にしている私によく似た依り代に入れて持ち歩け”」
「依り代…」
狐さんによく似たキャラのぬいぐるみなら、見覚えがあった。
枕元に確か、2体置いていたのだ。
今日は生憎連れて来ていなかったのだが、家に戻るまで別のぬいぐるみに持たせることにした。

10時過ぎ もう歩き疲れて、私はクタクタだったはずなのに
布団をどういうわけか妹のとくっつけていて、押入れから枕をもう一つ出していた。
狐さん曰く、 「”今宵はお前と共に寝たい”」とのこと。
仕方なく川の字になるように、真ん中に枕を置いて就寝することに。
一足先に布団に潜った私は、妹が戻るまで狐さんに色々質問した。
「何で…鳥居の上に立っていたの?」
「”…品定めしていた… 私の嫁に相応しい人間の女を…”」
「うん…うん…それで?」
「”どいつもこいつも化粧が濃くて品がなく、私の社ばかりを撮ってゆく…。 しかし、お前は違った…。 
お前は古風で美しい…一目惚れだ…”」
「(一目惚れって…) どうもありがとう…」
何だか狐さんが悪く思えなくなり、明日にはいなくなるだろうって考えながら私はもう一度目を閉じて眠りに就く。

深夜3時過ぎ 何だか寝付けなくなり、私は何度も寝返りを打った。
すると急に金縛りが起きて、身体が動かなくなったのだ。
まるで…圧し掛かって手を押さえつけられてる感覚。
「(狐さんの仕業かな… まさかとは思うけど…)」
…私の予感は大当たりだった。彼は、夜這いする気のようだ。
「”お前を一晩抱きたい…”」
見えてはいないけど、狐さんに犯されてる感覚が妙に生々しかった。
「(私… 狐さんに操を奪われてる…)」
私を抱いて満足した狐さんは、やがて別れを告げる。
「”もう、社に帰らなければならない…。 お前と出逢えて、とても愉しかった”」
「(え…)」
良く分からないけど、急に何だか寂しくなる。
気が付いたら私は涙を流し、必死に狐さんに対して懇願していた。
「やだ…! 社に帰っちゃやだ!! ずっと傍にいてよ、狐さん…!」
狐さんは、私の身体を借りて肖像画の入った御守袋を持ったぬいぐるみを指差し
「”私はいつでも、肖像画の中にいる…。 お前の傍にいて、ずっと守り続けるから”」
と告げて、もう姿を見せなくなってしまった。
私は…悲しくて被っていた布団の中で蹲り、咽び泣き続ける。
…もう、逢えないのかな… そんな事を考えていたら夜が明けてしまい、やがて帰る日が来てしまった。

帰る準備をしていると、何やら私の手を握る感触が…
狐さんが、肖像画から抜け出して私の傍に座っていた。
彼に「社に帰ったんじゃないの?」って聞いたら、
「”社は窮屈で嫌だ。 社を離れて、お前の部屋とやらに居座りたい”」と。
…結局、狐さんは現在私の狭い部屋に居候中。

信じて貰えないかもしれないけど、全部実話です。
狐さんの肖像画も現に残ってるし、当分狐さんは帰らないみたいで…

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