叔父さん

 これは八年前に私が体験したお話です。

 三月の末に以前から入院していた叔父さんの奥さんから、叔父さんの様態が危ないとの電話が。
 私と母と二人で、母の故郷の飛騨高山へ向かいました。
 叔父さんは私達を待っていたかの様に、その日の夜中に帰らぬ人に。
 私達はご遺体と共に病院を後に、叔父さんの家へと向かいました。
 叔父さんの家には、連絡を受けた従姉妹と従姉妹の旦那さん、従姉妹の子供A.Bがおりました。
 ご遺体と面会した従姉妹の子供A.Bでしたが、Bが尋常では無いくらいの大号泣。
 おかしいと思った私はお清めの塩を撒き、その場を収めました。
 そして葬式の準備をする為に帰宅、次の日にトンボ帰りしました。
 ご遺体を叔父さんの家から式場へ移動し控え室に入ろうとした時、ふと上を見上げると、控え室の入り口の天井付近に何か黒い影みたいなのが見えました。騒ぎになるといけないので黙ってましたが。

 そしてその夜に通夜が滞りなく終わり、従姉妹とその旦那さんと話をしていると、旦那さんが娘のBに、以前不思議な体験をし旦那さんも目の当たりにしたと話してました。
 その内容は、旦那さんの従兄弟さんが亡くなった時に、旦那さんと従兄弟さんしか知らない事をBが話したと言う物でした。
 日が変わり本式が始まったのですが、祭壇の上の方に女性の霊みたいな物が見えました。
 式も進み献花の時間になったのですが、Bでは無くAがいきなり嫌や嫌やと床にへたりこみ、床に向かって頭をガツンガツンと打ち付けてました。
 従姉妹の旦那さんがお坊さんを呼びに行きお坊さんが来られたのですが、お坊さんは蟲の類いでしょうとの一言。
 私も献花しようと式場に入ろうとした時、旦那さんが私の前に来られ、何とかしてくださいと言ってこられました。
 私は少し霊感があるのでやってみますと返事。
 お守り代わりに持っていた晴明神社の晴明の井戸の写メを片手に叔父さんの霊を説得し、その場を収めました。

 式、火葬が終わり、Aに「大丈夫でしたか? 覚えてますか?」と聞くも、覚えてないとの返事。Aのおでこは血がにじんでました。

 これが私の体験した不思議なお話です。

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