All dogs go to heaven

初投稿です。乱文ご容赦ください。

これは私が21歳のころ、アメリカの某州立大学に通っていたころの話です。
私は考古学を専攻していましたが、3年生にもなるとフィールドワークがあります。
昼頃、発掘先にフリーウェイを走っていると道路沿いに民家が見え始めました。
先のほうのとある一軒家で小学生くらいの女の子が大型犬、
確かゴールデンレトリバーだったと思います、と遊んでいました。

フリーウェイの制限速度は当時80マイル、約130キロです。
万が一を考え、私は減速していました。
対向車が見えてからは一瞬の出来事でした。 対向車は車道に走りこんだ大型犬をはねたのです。
私も当時犬を飼っていましたし、一も二もなく路肩に駐車してはねられた大型犬のもとに走りました。
ちなみに犬をはねた車は減速はしましたがそのまま走り去っていきました。
私は血だらけのゴールデンを抱き上げ、少女の家とおぼしき家に走りました。

「まだ息がある、助かってくれ!」
私はゴールデンをそっと芝生に下ろしました。
少女は何が起こったのか理解できていないのか、 ただ走り去った車の方向を見て
「停まらなかった、、、あの車停まらなかった、、、」と呟いていました。
ゴールデンは悲しそうな目でしばらく私をじっと見つめていましたが、ほどなくして私の腕の中で息絶えました。
騒ぎを聞きつけた家人が、血だらけの私と動かなくなった愛犬を見て悲鳴を上げました。
私は事の次第を説明し、家人は無礼を詫びて、感謝もしてくれました。

私は庭の水道を借りて血を洗い流すと女の子に向かってこう言いました。
“All dogs go to heaven.”
気休めになったのかはわかりませんが、何か言わなくてはいけない雰囲気でした。
私は女の子の頭をくしゃりと撫で、 名も告げずに車に乗って発掘現場に向かいました。

一人で夕方のフリーウェイを走っていると、 突然「ワン!」と元気な犬の鳴き声が聞こえた気がしました。
“all dogs go to heaven.” すべての犬は天国へ行く。
私はあの犬が律義にも挨拶に来てくれたものと、25年たった今でも信じています。

朗読: 思わず..涙。
朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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