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鶴池亀池

青森県 
結婚6年目で離婚した私はシングルマザーで二人の子どもを育てていました。上は女の子下は男の子。

ある日息子が「お母さん、蛙の卵取りに連れてって」とせがんで来ました。
「後でね」と先伸ばしにしているとさすがに待ちくたびれた息子が
「お母さんいつ連れてってくれるの?嘘ついたの?」と怒りながら言って来ました。
お父さんがいないから。と思われたくない私は夜9時を回っていましたが娘も連れ家族三人で近くの城山公園に出かけました。

息子の目当てはその公園の中にある鶴池亀池です。
昔からその池の近くのトイレは気味が悪く昼間でも人は近付きません。
勿論夜にはこの公園は人一人いませんでした。
蛙の声だけが響く公園で息子は嬉しさに早速駆け回り池の中を覗いてみていました。
気を許すと息子を見失いそうで、目を凝らしながら息子を見ていると、
娘が「お母さんあそこにいるの人じゃない?」と聞いて来ました。
私は娘が差す方を見るとオレンジ色灯りが縁取るサッシの中に黒い人影が行ったり来たり歩き回っています。
そして、時折止まってはこちらをじっと見ています。

あの場所はトイレ?そして、人影は生きた人間ではない。
すぐにそう思った私は娘に「あれは管理人さんだよ。でもそろそろ帰ろうね」と言い、
小声で息子を呼び、今にもこちらへ駆けて来そうな黒い影から離れ駐車場へ向かいました。
車までがとても長く感じた時間でした。

次の日職場で、昨夜の話をしようと「昨日鶴池亀池で」と言うと
「首吊りあったよね?!」と先に言われ。
「えっ?どこで?いつ?」と聞くと
「鶴池亀池のトイレで。2、3日前」
私は昨夜の出来事を話しました。

すると「あそこは昼間でも黒い影がチラチラ見えたりするらしいよ。それにトイレの電気はもう通ってないよ」と。
後日明るい時間にトイレを見に行くと、電気も通っていませんでしたがサッシどころか窓もありません。
周りに建物もなく。私と娘、息子が見た窓は何だったのでしょう?
二度と夜の城山公園には近付きません。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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