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隣家の幼馴染

これは、私が小学二年生頃からのお話です。
その頃、隣の家には同い年の女の子、早紀ちゃんと言う友達が居ました。
早紀ちゃんは、同級生の私から見ても、とても可愛らしく、どこか落ち着いた雰囲気のある子供で、早紀ちゃんは母子家庭なのですが、いつも可愛い服を着ており、早紀ちゃんのお母さん(以後、早紀母)は、外に出れば
「うちの子はともても勉強が出来て、お淑やかで…」
などと、自慢の娘といった感じで一人娘を可愛がっていました。
そんな早紀ちゃんとは、家が隣同士と言う事もあり、毎日の様に遊ぶほど仲の良い友達でいました。

でも、夜中に寝ていると、隣の家からは、目が覚めるくらい大きな泣き声とも、叫び声ともとれる早紀ちゃんの声が聞こえるのです。
その頃は、今ほど「虐待」と言う言葉に世間が過敏ではなく、まだ子供だった私には、どうしていいのかもわからず、いつも胸苦しさを抱えながら耳を塞ぎ、眠る事しか出来ませんでした…。

そして時は流れ、私が中学生に上がり、多少の頻度は少なくなったものの、隣の早紀ちゃんの家からは、相変わらず夜中になると泣き声や叫び声が聞こえてきてはいました。
ですがその頃では、早紀ちゃんの声と言うよりも、早紀母のヒステリックな声が目立つ様になっていました。

そんなある日の事、学校も終わり早紀ちゃんとの帰り道、思春期と言うことあり 「何年何組の、あの男子がかっこいい!」
「私はあの人が気になっている」
などと話していると早紀ちゃんが、
「実は、まだ言ってなかったんだけど、前から気になっていた○○君と付き合ったんだー笑 それで、この前のデートの時、〇〇君の家行って、エッチしちゃった!笑」
と聞かされ、私はまだ経験した事の無い未知な恋愛話に2人で盛りが上がっていました。

しかし、そんな会話を近所の誰かが聞いていたのかは分かりませんが、早紀母にその事を話した様なのです。
それを知った早紀母は、自慢の大切な娘を汚した男。
と、お前にはまだ男なんか早いんだ的な内容で叱られたと、後日、早紀ちゃんから聞かされました。
そんな出来事があってから数日後、その彼氏が、下校途中に友達と別れてからの行方がわからなくなった。
と言う事件になり、警察も介入しましたが、未だわかってはいない。 と言う事が起きました。
確信は無いものの、私は、早紀母が何かしら関わっているのではないかと疑っている中で、早紀母からの矛先は私に向けられました。
と言うのも、娘が彼氏を作ったり、そしてその男と寝たりなど、こんな風に育ってしまったのか。
それは昔から仲良くしているあいつのせいだ。と…

そして休日の昼間、私は遊びに行く最中、早紀母に拉致され、早紀ちゃんの家の奥部屋に監禁されました。
たぶん早紀ちゃんは、どこかへ遊びに行っているのか、誰も家には居ない様です。
そこで早紀母に
「早紀があんな風になったのは、お前のせいだ! 汚い男なんかと寝やがって! 全部、全部、お前がそうさせたんだ!」
と罵声され、私は怖くて訳もわからず、部屋の角で縮こまり怯えていると ピンポーン…ピンポーン。
早紀ちゃんが帰って来た様です。
早紀母が玄関の鍵を開けに出た隙を見て、私は無我夢中で部屋から飛び出し、玄関に行くと見つかってしまう…どうしよう。どうしよう…!
テンパりながら駆け込んだ先は、お風呂でした。

そうして駆け込んだお風呂。 そこには薄く赤いシミの様な物があちこちに。
蓋で閉ざされた湯船からは、赤い筋が薄く流れた後があり、何か変な臭いも。
恐る恐る閉ざされた蓋を開けてみると、どす黒く赤に染まった氷水に浸され、真っ青に少し膨れ上がった早紀ちゃんの彼氏が沈められていました。
びっくりして、思わず声を上げそうになりながらも、風呂場から逃げ出そうとするのですが、何故か、家が古いせいか、建て付けが悪いのか何なのか分かりませんが、扉が開かないのです。
そうしていると 「あっ‼︎‼︎あいつ逃げやがった!」 と早紀母の怒声が… またも私は怯え体が縮こまり動けず、しゃがみこんだ際に、湯船の蓋にあった桶に腕が当たってしまい、音が…するとその音で 「わかったぞ」 早紀母の一言の後、ダダダダダダダダ! と風呂場へ駆け込み、向こうからも扉が開かないのか、ガチャガチャガチャガチャ! 「開けろ‼︎開けろー‼︎‼︎」 と早紀母の怒声。
早紀ちゃんが 「お母さんどうしたの⁉︎ねえー!」
と呼びかけると早紀母は 「お前をこんな風にした奴を殺すんだ‼︎‼︎」
それを聞いた早紀ちゃんは、中に居るのが私だとわかったのか 「やめて‼︎‼︎ねえ!やめて‼︎」
と泣き叫び呼びかけますが、早紀母には聞こえていないのか、ずっと扉をガチャガチャしながら 「開けろ‼︎開けろー‼︎‼︎」 と鳴り止みません。
すると早紀母がスッ…と立ちすくみ、お風呂には少し大きめな窓があるのですが 「風呂窓から入ってやる」 と言い残し、隣の部屋の縁側から周りこんで、こちらに来ようと言うのです。
その最中も、早紀ちゃんは母を止めようと必死になりますが、一向に止みません。
そんな中、私は窓の鍵が閉まっているかを確認しつつ、扉にもたれかかる様にしゃがみ込んでいると バリーンッ!!! ガラスが割れ、血走った目を見開いた早紀母の顔が…
そんな時、早紀ちゃんが 「お母さん、もういい。私がやる…私がやるから」 と言い出し、姿は見えませんが、先程までの早紀ちゃんの雰囲気が違うのです。
すると早紀母は落ち着きを取り戻し「そう、わかった。ほら…。」
と何かを手渡し、受け取る様な語尾の後に早紀ちゃんは 「うん。お母さんにだけこんな事はさせられないもんね」
そして早紀ちゃんは、お母さんに抱え上げられ、手に包丁を握りしめながら窓から入って来ました。
私は、もうダメだ…殺される…。 と震えていると、早紀ちゃんが小さな声で「大丈夫。大丈夫だから」
と、湯船に沈められた彼氏を少し見つめ、また小さな声で 「大丈夫だから」 と目に涙を溜め囁いてきました。
そう言い残して 「お母さん!お母さんもこっちに来てちゃんと見てて!」
それを聞いた早紀母も、窓をよじ登り入って来たと思ったら、早紀ちゃんが自分のお母さんを ブスッ!…ブスッブスッブスッブスッ…! と何回も刺しだしたのです。
早紀母は 「ゔぅっ…!」 と言ったきり、辺りには血が飛び散り、崩れ落ちます。
そして早紀ちゃんは、風呂場の扉を包丁でこじ開けると、私に 「警察を呼んできて」
私は 「一緒に行こう!誰も悪くないし、誰も早紀ちゃんのこと悪く言わないから、一緒に行こう?」
と投げ掛けましたが 「ごめん。私、今、足がすくんで立ち上がれそうにないから、行ってきてくれない…?」
震えながら虚な目をした早紀ちゃんの姿に 「わかった。すぐ戻ってくるから待ってて」
そして私は、自分の家に戻り母を呼び、近所の大人も何人か呼びかけ、早紀ちゃんの家に戻ると、そこにはすでに血に染まり、息絶えた早紀ちゃんの姿がありました。

後の事は、警察が来て現場検証など、私も何度かの事情聴取を行い、しばらくの間、精神病院に通いながらの日々を送り、今に至ります。
数年たった今でも、忘れる事は出来ないこの出来事に、今も私は立ち直れてはいません。
長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございます。

朗読: ゆっくり怪談

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