そういえば

私の父は定年を迎えていますが、国を守る仕事に就いていました。
そんな父に憧れ、私も同じ職についてすぐ、父から聞いた話です。

私の父は仕事で出張しており、仲間と共に山にこもってきつい仕事を終え、その夜宴会をしてどんちゃん騒ぎをしていたそうです。
ビールが空になったので、宿舎の洗面所に行き、空き缶を洗うため中に入ろうとすると、後輩が先におり、「お先に失礼します」と、一礼して出てきたそうで、父は、「他にも誰かいるのか」と思い、その後輩と挨拶をかわし洗面所に入ったそうです。
中に入って空き缶を洗い終えて、「そういえば誰かいたはずだな」と思い周りを見渡すと、あろうことか誰もおらず、その場には父しかいなかったのです。

父は急いで後輩を追いかけ肩をつかむと、「お前、さっき洗面所でだれかに声をかけていなかったか?」と聞くとその後輩はうーんと考え込み、あっと声をあげると、「そういえば…服が昔の軍服でした」と話したそうです。
私たちの住んでいる地域は雪国ではありますが、第二次世界大戦時山の多いこの地域でも、2日間の空襲で約200名程度亡くなったそうです。
時代は違えど、同じく国を守る為命を捧げた先輩が、宴会の騒がしさで、また、仲間の笑い声が懐かしく出てきたのでしょうか。
暑い夏の夜の事だったそうです。

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