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タピオカ

ちょっと思い出したことがあったので、突然ですが書かせて頂きます。
今ほどじゃないけど、私が高校時代にもタピオカが流行った時期があった。
タピオカっていっても今みたく黒くてあんな大きな粒じゃなくて、白くてもっと小さいやつ。
今でもスーパーのデザートコーナーとかで時々見るけど、ココナッツミルクに浸ってるやつね。
で、それを見ると思い出すことがあるんだけど、今でも全然腑に落ちていない。 私が何年か前、久々に帰省した時、部活が同じだった仲間2人と、地元の駅ビルの中にあるドトールで話してた時のこと。
東京に就職した私と、京都に就職したA、地元に残ったBの集まりってことで、最初はお互いの近況報告とか、仕事での愚痴とか月並みなことを話した後、自然と昔の思い出話になった。 しばらく、好きだった男子の話とか、同じ部の子の話とか、さんざん盛り上がった頃、Aが突然外を指差して、「ねー!あれタピ岡じゃない?!」っていった。 駅前にロータリーがあって、その脇にある歩道で信号待ちをしている40代くらいの男性。
確かに私たちが高校時代に教員だった「タピ岡」だった。
「うわ、なつかし!ずっと地元住んでるけど、私も卒業以来だわ。」とBも興奮気味。 「アイツ独身だったよね?結婚したのかな~ww」なんて余計なお世話なことをいっているうちに、タピ岡と思しき男性は、地下道の階段を下りて行ってしまった。
歴史の長い高校で、やたら年配の先生が多かったから、当時まだ若かったタピ岡は、生徒達によくからかわれていた。
「タピ岡」というあだ名も「○岡」という岡が付く苗字と、色白ってことで男子から勝手に付けられたあだ名だった。
と、ここまではよかったんだけど、このあとBが変なことをいった。
「でもなぁ~私正直タピ岡あんま好きじゃなくて。アイツのせいで2年になって古典の成績下がったし。」といいながらグラスの中の氷をストローで攻撃している。 私とAは顔を見合わせた。
すぐに私は「世界史でしょ?タピ岡は。」とツッ込んだ。 今度はAが変な顔をした。 「いやいやいや!タピ岡は生物だから!」 “タピ岡は生物”にジョークだと思って一瞬カフェオレを吹きそうになったけど、Aは大真面目な表情だった。 「…え…」 変な雰囲気になりつつ、Bが一つ年下で同じ高校だった弟に電話を掛けた。
「あんたん時もいたよね?タピ岡!古典の!」 そのあと「はぁ?」「タピ岡だよ!N高の!」とかいってたけど結局すぐ電話を切った。
「…ったく…知らないって。そんな奴。」 この辺からちょっとうすら寒い感覚になって、Aも同じクラスだったCにメール打ったりしてたけど、結局「そんな教師知らない」っていわれたと気味悪がってた。
せっかく楽しみにしてた再会なのに、変な空気なままなのも嫌で無理やり話変えたけど、なんとなく解散の流れになった。 次の日、Bから一斉送信でメールが来た。

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件名:送ろうか迷ったんだけど。 本文:なんかさ、結局モヤモヤしたままだったし、手元に卒アルあるの私だけだと思ったから昨日家帰って早速確認してみたんだけど。 いなかった、そんな奴。

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私はメールを見て固まった。 困惑している内に、Aからもメールが来た。


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Re: ちょ…なんで迷うのよ(笑 てか、見落としてるだけじゃない?アイツ影薄いし! ウォーリーを探せより難易度高いんじゃん??

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明らかに動揺を隠す為におどけてるのが分かった。
実は私も別の友達D、Eに確認してみたけど、揃って「知らない」といい、私がタピ岡に習ったと思っていた世界史はDが一緒に受けていたはずだったんだけど、「別の教師が受け持ちだった」といわれた。
不快だったのはDにそのメールをもらった途端、その別の教師から世界史を教わってる光景が浮かんできたっていうか、発生するみたいな感覚になった。
Bが卒アルを探してくれたし、私もD、Eに確認した結果をA、Bに伝えた。 おどけていたAもこの時には「もうタピ岡のことは忘れよう!」といって、これ以降私たちはタピ岡の話はしていない。
帰省した時、私も卒アル見たけど、そんな教師はどこにも写ってなかった。 それからは、それぞれ結婚したり、地方に移ったりでなんとなく疎遠になっちゃったんだけどさ。
結局タピ岡って何者だったんだろう? 私たちがあの日見掛けた男性は誰だったんだろう? ちゃんと学校で調べるとか、もっと色んな人に聞いてみるとか方法はあるのかもしれないけど、あの薄ら寒い感覚をもう感じたくないってのがあってそんな気になれなかった。
教師の「タピ岡」のことはなんか怖いから思い出したくないけど、個人的には黒いタピオカより、当時一瞬だけ流行ったココナッツミルク味のがいまだに好きです。

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