これは、かなり昔になりますが…
私の子供は3才位まで、とても身体が弱く、
入退院を繰り返してました。
病院は地元の一番大きな病院で
小児科独特の
日中は騒がしい子供の泣き声や、付き添いの親のお喋りなど、
様々な声のする
いわゆる賑やかな病棟です。いわゆる賑やかな病棟です。
しかし、深夜ともなれば昼間のザワザとした喧騒も落ち着きます。
当時は病院内も喫煙所が各階に有りました。
今ではあり得ませんね。
私の休息として、深夜に一服🚬が何よりの
ホッとする休息でした。
そこの一角に公衆電話が設置されてます。
ある日、私が休息に行くと電話の所で
話をしてる?お母さんらしき人がエプロンを
付けて受話器をもってました。
私はボーッとその女性を見てました。
「うん、うん、明日こそ退院だから…」
そんな言葉が微かに聴こえて、ア~ぁ、退院出来るんだ。とボンヤリ聞いてました。
翌日も又、付き添いのお母さん数名と休息に
行きました。
すると電話をしてる女性が居ました。
「うん、うん、うん、明日こそ退院だから…」
私?
退院が1日延びたのか?
まぁ~、家の娘は退院の目処が経ってないし
連れのお母さん数名と話ながら、
あの人のお子さんは、何号室なんだろうね?
日中は見掛け無いけど?とポツリと言いました。
すると或るお母さんが、えっ、❔
何の事❔
えっ、だから電話してるあの人の事だよ。と言いました。
はっ、❔
誰も居ないけど⁉
えっ、❔私
変だな~と思いながらも各病棟に戻りました。
次の日はチョッと早めに一人で喫煙所に休息に行きました。
恐る恐る電話の所をみると……………
居ました。
受話器を持って
「うん、うん、明日こそ退院だから…」
聴こえて来ました。
いつもの姿、いつもの台詞。
もうね、私、頭おかしいのかと思いました。
そして、小児病棟の婦長さんに、それとなく
聞いてみました。
私は、最初に言ったように子供が何度も入院してたので、婦長さんとも割りと気軽に
話を出来てましたので。
婦長さんは、何となく言葉を濁しながらも
教えて下さいました。
あのお母さんは実は数年前に一歳位の子供を亡くしたそうで、
私のように、あのように見える人が居るとの事。
でも、ただ受話器を持って話してるだけだから
何もしませんので、ご安心を、
と言われました。
でも、深夜に時間帯をずらして行っても
「うん、うん、明日こそ退院だから…」
と受話器に言ってます。
何か切なくてね~
怖いんだけど可哀想?みたいな。
私の子供もそうなったらと思うとね、
その後、数週間後に私の子供は退院しましたが、
何度も何度も会って?ました。
切なく悲しい実話です。