大人が作る理解不能なルールの意味を理解した時の話です。
小学6年生の修学旅行の時、良い写真をとる為に、私は写真を撮る練習をしていました。
沢山写真を残して友達に配ろうとワクワクしていた矢先、先生から想像もしないルールを一方的に伝えられたのです。
「カメラ等の貴重品の所持禁止」
私はかなりショックをうけました。
全く理解できない。
宿泊研修ではカメラを持って行ったのに、なぜ修学旅行ではカメラ禁止なのか。
納得できずに私はこっそりカメラをもって行く事にしました。
自由行動以外は撮影できなかった為、私はホテルで友達の写真を沢山撮りました。
先生からは、私達の宿泊しているフロアは、全部屋学校の生徒で埋まっていると聞いていましので、私はこっそりカメラを持って廊下に出ました。
私達の部屋は角部屋でしたが、廊下はその先も曲がり角に続いており、私はその先に行ってみようと思いました。
部屋から足を踏み出したと同時に、小さな男の子が走って来て私の目の前を通りすぎ、廊下の先の曲がり角を曲がっていきました。
私はふと先生の、「このフロアには学校関係者しかいない。」という言葉を思いだし、昔から謎の正義感があった私は入り口から部屋にいた友人達に、 「子供がいる。もしかしたら迷子かも!一緒にきて!」といい、友人と曲がり角の奥に走りました。
ですが、子供はもういませんでした。
「子供なんていないじゃん」と友人に言われ、私は周辺を見渡しました。
すると、非常階段のドアがひとつありました。
「ここからどこかに行ったんだろうね」と、私は非常階段のドアノブをまわしました。
「あれ?開かない。」
ドアは開きません。
あ!と友人が小さく叫びました。
「ここ、倉庫ってかいてるよ」
私と友人は顔を見合わせると部屋へ一目散に逃げ帰りました。
修学旅行が終わり子供の事など忘れていましたが、写真を現像し、思い出してしまいました。
ホテルの部屋で撮影した写真のほとんどが、不気味な写真だったのです。
両手をパーにしている私の左手が右手に比べて、2倍ほどのかなりの大きさになっている。
友人の顔もぼやけるほどの写真いっぱいにうつるオーブ。
クローゼットを背にし荷物をいれようとする友人に伸びる、長い長い真っ白な腕。
朝。カーテンを開けた近くにある、机に反射してうつる窓の外には服の柄まではっきり写る人影。
そして、どこかに消えてしまった小さな男の子…
先生が作った納得できない、カメラ禁止のルールの意味を、私は初めて理解したのでした。