庭に蒔いたヘチマのツルがだいぶ伸びてきた。
大きなキュウリのような実もついて、葉っぱもずいぶん大きい。
「そろそろヘチマ水も取れそうだね」
祖母が言うには、ヘチマからは化粧水が取れるそうだ。
ヘチマのツルから出てくる水を、瓶に集めるらしい。
「じゃあ、明日の朝、瓶を用意しようかね」
どうやってヘチマ水を取るんだろう、私はワクワクしながら翌朝を待った。
朝、空き瓶を探していたら、祖母が庭から手招きした。
「ほらほら、早く瓶を持ってきな。ヘチマ水が溢れちゃうよ」
慌てて瓶を持っていくと、ヘチマのツルの先に付いた小さな蛇口から、ジャバジャバと音を立ててヘチマ水が噴き出していた。
瓶が一杯になるまでヘチマ水を入れると、祖母はヘチマの蛇口を閉めて、
「はい、今日の分はおしまい。明日はお前がやってごらん」と笑った。