背後の誰か

ある朝私は朝食を食べたあとスマートフォンでメールを見ていた。

その時、急に体調が悪くなり立っていられないくらい怠さを感じた。
起きてからまだ時間が経っていないが、椅子に座ってもう一度寝ることにした。
何時間か経って目を覚ますと体が動かなかった。
どうやら金縛りにかかってしまったようだ。
私は自力で幽体離脱することと金縛りにかかると幽体離脱も起こってしまう妙な体質があった。
だが、その日はいつもと違う。
突然一気に上空へ上がったのだ。
目は開かなかったが、屋根を越えて空まで上がったのを感じた。
更にそのあと一気に下まで下がった。
そこで終わったかと思ったが、今度は上がったり下がったりを何度も繰り返してきたのだ。

私は今何が起こっているのか、状況判断が追いついていなかった。
そして急に上空で止まり、誰かに肩を両手で掴まれた。
体を動かせないので顔を見ることは出来なかった。
もう何が起こっても驚かないと思っていたその時、突然空を飛び出した。
その時、ものすごいいきよいで飛んでいたのを覚えている。
数秒間飛んでいた時にふと景色が見え始めた。
日本ではないことはすぐ分かった。
大きな谷や日本にはない建物、他にも色々な景色が見えた。
そして最後は自分の家に戻り目を覚ますことが出来た。
起きたあとは先程とは思えないほど体調が良くなり、なかなかやらないジョギングを始めたくらい元気になった。

話がそこで終わればいいのだが、まだこの体験は続いた。
ある朝私は起きようとして体を動かそうとしたが動かない。
また金縛りにかかってしまったようだ。
解けるのを待っていたその時、誰かに肩を掴まれた。
またアイツだとすぐに分かった。
また飛ばされるかと思ったその時、アイツが突然喋り始めた
。「私たちはストレイヤーストレージで繋がっている」と言い出した。
(私)ストレイヤーストレージ?何だそれ?
私は狼狽えながら奴に聞いた。だが、それは聞き入れられず話が続いた。
なぜ私たちが繋がっているかを長々と説明された。
「ボルト7」がどうたらこうたらだとか多くの情報を聞かされたが、
私は「ストレイヤーストレージ」というワードを忘れない為に必死だったので説明を全く聞いていなかった。
私はこういう不思議な体験をした事がなく、初めての体験で非常にワクワクしていたのだ。

説明が終わり、金縛りも解けたあと急いで調べ始めた。
勿論「ストレイヤーストレージ」という名前はどこの情報にも書いていなかった。
だが、一つ一つ調べて分かった事がある。
「ストレイヤー」とは「さまよう」や「遅れる人」のことを言い、
「ストレージ」はパソコンのデータを長期間保管しておく為の補助記憶装置だという。
だがその時、疑問に思ったことがある。
アイツが補助記憶だとしたら、なぜ自立して喋れるのだろうか。なぜ私が聞いたことがない、
「ストレイヤー」や「ストレージ」という言葉をアイツが知っているのだろうか。
それ以来金縛りにかかる度に「ストレイヤーストレージ!」と技みたいに心の中で叫ぶと同じように肩を掴まれ、
空を飛んだり、後ろにいるアイツが私を抱えて建物を飛び回ったり現実とは思えない体験をした。
アイツの手を1度見た事があったが黒く、爪のとがった大きい手で私の肩を触ったあの手とは思えないほど恐ろしい手をしていた。
夢と言われたらそれまでだが、夢にしてはリアルに感じた。
私の後ろに居るアイツは一体何者なのだろうか。

朗読: 思わず..涙。

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