犯人探し

小学生の頃の話。 私のクラスで変な事が起きていた。
それは、誰かが椅子の上に画鋲を置いているという事。
置かれる画鋲は一個の時もあれば、それ以上の時もあった。
着席するときは誰も椅子なんて見てないから、ただでは済まない。
そのまま勢いよく画鋲が刺さってしまう。
体育や理科の授業が終わった後に、起こっていた。

その日、体育でドッチボールをやった後に学級委員のリョウコが被害にあった。
画鋲の数は、今までで一番多い五個だった。
リョウコは怒ると怖いから、私たち女子はもちろん、男子の何人かもご機嫌をとっていた。
「誰がやってるんだろう。酷いよね」
お昼休みに、私は隣にいるリョウコに言った。
「犯人を探そうよ。次の時間は理科室だし、だから…」
「え、私が?」
「だって深央まだやられてないじゃない。画鋲って刺さると痛いのよ? 先生にはお腹が痛いから保健室に行ってるって言っておくから」
怒っているリョウコの言うことは聞くしかない。
私はしぶしぶ掃除用具入れに隠れて犯人を確かめる事にした。

チャイムが鳴り、次の授業が始まった。
誰も居ない教室はしーんと静まり返っている。
(本当に犯人は来るのかな…)
そう思っていた時、教室のドアが開いた。
(誰か来た!)
掃除用具入れからでは、誰が入ってきたのかよく分からない。
(よく見えないなぁ)
私は心の中で思いながら隙間から目で追っていると、相手は私やリョウコの席があるところへ近づいていった。
そして、ポケットから何かを取り出すと、私の椅子の上にそれを置いている。
(次は私?! 絶対に顔を見てやる!)
私は音を立てないように気をつけながら、掃除用具入れのドアを少しずつ開けて犯人の顔を見ようとした。
相手は二~三個画鋲らしきものを私の椅子にのせると私の方へと振り向いた。
あっ! 声が出そうになるのを何とか抑えた。
隙間から見えた犯人の顔。
それは、私と同じ顔をしていた。

朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

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