サプライズ

平成に入って間もない頃の話
卒業のシーズンだったのは覚えている

わっしょい、わっしょい
と突然、駅のホームで胴上げをされた

何も思い当たるフシはなく、知らない制服を着た男子学生たちだった
完全に人違いだ、そう思ったが意外に大声というのはとっさには出せない

おめでとう、おめでとう、と言いながらそいつらは
そのまま私を線路に投げ落とした

すぐ隣を通過する電車に引きこまれそうになったのを覚えている

腕と腰の骨を折ったが、殺人未遂の男子学生集団の行方は知れず捕まらなかった

   <了>

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