騒がしい入院生活

娘が看護師になった。
難病を患って苦しむ私を見て看護師を目指した。
そんな娘が勤めた病院は、昔からこの土地では馴染みのある病院だった。

娘が勤めて一年後、その病院は同じ敷地内だが違う場所に建て直された。
何もかも新しい病院に勤めながら、時折娘が話す。
「うちの 病院結構出るらしいの。カーテンの上から、看護師が覗いていたりね、部屋にたくさん老人が入ってきたり。
後、浴衣姿でおかっぱの子どもが踊ってるって言う人がいてね、その子を見た人が次々亡くなってるの」
娘の話をまとめて書いたが、実際は「今日また、踊る子ども見たって言ってた人が亡くなったの」と数日に渡って言っていた。
私は昔から心霊体験が多く、ここにも何話か、実体験を投稿している。
立て続けに投稿したせいか、クリスマス前、転倒して膝を怪我してしまった。
まぁ、投稿とは関係無いと思いたい。

そんな訳で今、娘の勤務する病院に入院中である。
持病を抱える私は4つ目の病院である。
入院は慣れっこだが、自分の不注意での入院なので悔しかった。
今までで一番新しい病院ではあるが、ここはなぜか、たくさんの霊で賑わっていた。
そう、とても賑やかなのだ。
こうして打っている時も車椅子の背中をノックされたり、脇から覗きこんできたり。ベッドは頻繁に揺らすモノがいる。

ある日ベッドのカーテンを半分閉めていると、脇から、真っ黒な男の子が覗いてきた。
真っ黒い姿に目だけがクリッと可愛らしかった。
私と目がしっかり合ってしまうと、驚いて口を「あっ」という様に開けいなくなってしまった。
踊る子どもじゃなくて良かったと思い、一人ホッとした。
ここはたくさんの霊がいるけど、ちっとも怖くない。
そんな風に、高をくくっていたら…。

2日前から、明らかに良くないモノが私のベッドに住み着いた。
最初はベッドの布団を引っ張るので、またかと思っていたら、
ベッドの足の方から髪がバサバサの血だらけの顔がゆっくりと手をかけながら登って来た。
じっと私を睨んでいる。
金縛りにはならなかったが、恐くて動けない。
その顔は何やらぶつぶつと言っているが、その度に口から汚物なのか、内臓なのか溢れて、何を言ってるのかわからなかった。
その顔は、ぶつぶつ言いながら、下へ下がっていった。
次の瞬間、大きくベッドをユラユラ揺らし、何もなかったかの様に静まった。
いや、元々が全て無音なのだろう。

次の日、またその顔は現れた。
何が言いたいのかはよくわからないが、多分、連れて行きたいのだろう。
そして今夜もくるのだろうか?私はもうすぐ退院出来そうだが、無事に退院出来るだろうか?などと考える。
入院中、娘が言っていた。
「この間、夜勤の時、個室の寝たきりのお爺さんの部屋で、勝手に機械が止まったてブザーが鳴ったの!」
単なる霊のイタズラなのか、連れて行こうとしているのか。
今日はこれまでにしておこう。

朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

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