黒い影と首

こんばんはお疲れ様です。
私が体験、というより見せて貰った心霊写真と動画についてお話させていただきます。

F県S市にとある神社があります。
そこは首がない侍がなど色々な噂があるので、 詳細はよく分かりませんがその地域ではかなり有名な心霊スポットです。

ある秋が深まって風が少々冷え始めた頃、Aと私は食事と遊ぶ目的で出かけました。
Aが「相談ってか、見て欲しいものがあるんだけど…」と話を切り出したので聞いてみると
私と遊ぶ2日前、Aとその友達、後輩を交えて3人で肝試しに行ったらしいのですが、
道中携帯で動画を回し続け、要所要所で写真を取り散策していたそうです。
Aは「いやー、着いたはいいけど最初何も無くてさ、完全に安心してたんだけど」と、何か含みのある言い方をするので
「やっぱなんかいたの?」と聞きました。
Aはしばらく黙って
「いたというか、なんというか。車に戻って携帯確認したんだけどさ…んー、とりあえず見てくれ」
と問題の写真と動画を見せてくれました。

まず写真のほう 1枚目が入口、2枚目石の階段、3枚目社、4枚目社をバックにピース、5枚目岩 の5枚です。
問題は3枚目、4枚目、5枚目 3枚目、社の後ろに林があるのですが、何やら白い玉が無数に飛んでいます。
オーブと言うものでしょうか、 この時点で私は

「オーブ飛んでるのなんて初めて見た。すごい数だなこれ」
Aは「この時はまだ良かった。次を見て欲しい」

言われたまま4枚目を見た時私は、今まで感じたことの無い嫌悪感に襲われました。
4枚目、社をバックに2人でピースしている写真らしいです。
らしいという曖昧な説明をしている理由は、 ピースしているところが確認できないのです。
異変には直ぐに気づきました、2人の片方の手が消えてるんです。
Aも「そう、これなんだよ。手が消えてるんだけどピースしてんだよこれ。どう思う?」
私は「これは…怖いし、酷いな…」としか言葉が出ませんでした。
Aが「次これなんだけどさ。なんだと思う?」と5枚目を見せてきました。
5枚目です。岩みたいな、ブレが酷くて良く見えません。
これについてはAも撮った記憶が無いらしく、シャッターを間違えて押したという事で納得し、 スルーして動画の方に移りました。

じっくり動画を鑑賞、何もなし。
Aは「これ何も無いと思うんだけど…これみた後輩の1人がさ、血相変えて黙って帰っちまってさ、なんか見える?」と聞かれ
私は「いや、見えねぇな。音消えてたけど出して見るか」
直ぐに音を出しもう一度再生。

入口で和気あいあいと談笑しながら進む4人、順調に社まで進みました。
社に着くと地鳴りみたいな低い音が立て続けに「おぉぉぉ…おぉぉぉ…」となっています。
その後も談笑しながら戻り、入口まで着き終了。
Aが気づいたんですが「あん時、地鳴りなんか聞こえなかったんだよな…なんの音だ?」 と言うのでイヤホンをつけて、もう一度地鳴りの所から再生。
地鳴りはまだ聞こえる。
「いや、これは…」と私は気づいてしまいました。

「おぉぉぉ…おぉぉぉ…」と言う低い音は人の声なんです。
音量をMAXにし、もう一度問題の所を再生。
次の瞬間「おぉぉぉ!おぉぉぉ!!」とまるで雄叫びの様な声に変わり
画面も先程とは打って変わり、社の裏手にある林から黒い影が迫って来てます。
私は「うわっ!なにこれ…おい!A!やばいぞ!おい!」
Aは、か細い声で「え〜…なにこれぇ〜…」と顔が白くなってました。
Aは「写真も変わったかもしれない…」もしかしてと、動画を途中で止め確認しました。
5枚目、岩かと思っていたあの写真は首だけの人でしたブレは消えて、 鮮明に写っていたものは上目遣いでこちらを睨見つける写真。
4枚目の手が消えていた写真は、消えた手があった所、黒い影がちょうど被る感じで手が見えなくなっています。
3枚目、社の写真はあの黒い影が社の前に迫って来ているようです。
2枚目、石の階段、こちらを追いかけるかの用にどんどん写っている距離が近くなっている黒い影。
1枚目、入口、画角全体真っ黒になっていました。
全ての写真が変化してました。

私は「A、これもしかして…追いつかれてるんじゃ…」
Aはさらに顔を白くして「え…っとぉ…どうしよ。えぇ…全体死ぬやつじゃん…」
私も焦りながらも冷静に「と、とりあえず帰った後輩に話を聞こう。安否も気になるし、あいつも気づいたんだ」
Aの携帯は気持ち悪いので私の携帯で連絡をしました。

「お前…なんともないか?大丈夫か?」と私が聞くと
後輩は言いにくそうに「いや、あの…先輩、自分は大丈夫ですけど…それよりAさんの友達大丈夫ですか?」
私は「え?なんで?なんかあったの?」と聞きました。
後輩は「あの…動画みたんですよね?影がAさんの友達について行ってる所見ましたか?
車に戻って確認した時、動画の最後でAさんの友達に影がついて行ったのを見て、
車内に影がいるって思って逃げるように帰ってしまいました。すいません」
私はもう見る勇気もないので
「途中で止めたから…まぁ、分かった。悪いな、気をつけてな」 そこで電話を切り、
Aに友達がやばいらしい事を伝え、自分は恐ろしかったので帰りました。

この話はここまでです。 Aは現在も元気でいます。
もちろん後輩も、ただAの友達の話を聞こうとすると答えてくれません。
ただ一言、「あいつは…おぉぉぉ…」と 怖くてこれ以上聞けませんでした。
今もあの雄叫びが耳に残ります。
解決してない心残りのある体験でした。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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