マンションのラクガキ

これは、私が小学3年生くらいの時の話です。
怖くないかもしれませんが、不思議な体験です。

近所に住む、親友のあっちゃんと、二人で公園で遊んでいた時の事です。
あっちゃんの母親は怖い話や恐怖体験の漫画が好きで、いつも私とあっちゃんはそれを読んだりしたり、話したりしていたくらいなのですが、
そんなあっちゃんが、公園のブランコで遊んでいた時に話てくれたのです。

あるとても仲のいい姉と弟の兄弟がいました。
自分より、遅く帰ってくる姉を学校が終わってからずっと待っていました。
その日も学校が終わると姉の帰りを一人で待っていた弟。
横断歩道の向こうで姉が弟に、ただいまーっと呼びかけると、
弟は赤信号を無視して車道に飛び出し、トラックに轢かれて亡くなりました。
その姉弟はマンションに住んでおり、
弟が死んだ次の朝、マンションの壁に6、7階くらい上から、大きな字で[お姉ちゃ……]と、たった一晩で浮き出たように外壁に文字が。
それは、高さから消防車のハシゴを使っても無理な高さ、
一番上に住んでいる人がベランダから書けるような文字の大きさではない。
むしろ、ベランダはなく、小窓がちょこんとあるだけ、まず普通の人間には無理な大きさの文字。
しかもそれを誰にも見られず、たった一晩でラクガキするには、絶対不可能。
それだけ、お姉チャンが好きだったんだよ。
っとあっちゃんは話を締めくくりました。

私はその時の事はよく覚えていて、ブランコに乗ったまま、あっちゃんが静かに語る口調。
昼過ぎくらいの近くの公園。今でもハッキリ覚えています。
それから数日経って、家族で買い物に出掛けた時、
本屋で つのだじろう 現実に起こった心霊現象 わたしの怖い体験2 と言う本を見つけた。
普段から、怖い話は好きだったので、パラパラとめくって中をみていたら、
あの、あっちゃんの話していた、マンションの外壁の お姉ちゃん と書かれた写真が載っていました。
これ、あっちゃんが話していたやつだ!と思い、親にねだって買って貰いました。
もちろん、あっちゃんに見せる為。

早速、帰ってくるなり、あっちゃんの家にむかい、その写真を見せました。
コレ!あっちゃんがこないだ話してくれた話の、写真じゃない?!
興奮している私をよそに、あっちゃんは一言。ナニコレ?気持ち悪い…って言うんです。
更には、私が数日前にあっちゃんから聞いた話だと説明しても、あっちゃんは全く記憶にない!って言い張るんです。
たった数日前に自分で話した内容を全く覚えていませんでした。
そんなくだらない嘘を言う子じゃないし、写真も気持ち悪いから二度と見たくないって言われ、私はポカーンでした。

あれは、私の記憶違い?
いや、あの日の場所、ブランコ、そして急に話しだしたあっちゃんのちょっと悲しそうな表情まで、細部まで覚えているのに…?
今はもう、確かめられませんが、私は今でもその本を持っています。
皆さんももし宜しければ写真を見てみて下さい。
それか、つのだじろう先生の本を探してみて下さい。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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