真夜中の帰り道

オチもなければその後僕に何かあったとかもないのでそこまで怖くないかもしれないのですが、
僕がバイト帰りに体験した話を聞いてください。

僕は2年前までは飲食でバイトをしていて、クロージングまですると帰りは余裕で日を跨いでいました。
その日もいつも通りバイトを終えて25時過ぎにバイクで帰っていたのですが、
普段は引っかかる事はまずない十字路の信号に引っかかってしまいました。
というのも僕が住んでいたところは非常に田舎で、そもそも信号はあまりなく、あったとしてもこの時間には押しボタン式のだけで、帰り道の全ての信号は点滅していたからです。
こんな時間に横断歩道を渡る人などはもちろんいなかったのですが、
バイトで疲れていたのもあり特に深い事は考えずに待ちぼうけていました。

その時、視界の先に動く何かが見えました。
歩道と車道を隔てる歩道柵の車道側に、何かが音もなくぶつかり続けているようでした。
先程言ったように僕の実家はど田舎なのでイノシシだったら怖いなぁくらいの気分で呑気にいると、信号がやっと青に変わったのでバイクを進めました。
野生動物の場合光に興奮して突進してくる事があるので、
スピードを落として通り過ぎようと思ったのですが近付いた時にその「何か」の正体を見てしまいました。

それは、監獄で柵を握って暴れているような、小学校低学年くらいの男の子でした。
柵を握り締めながら自分の体重を利用して右へ左へ、柵にぶつかりながら、時に上を向き叫ぶような仕草をしながら揺れ続けていました。
服装などはハッキリとは覚えていないのですが、特に乱れた様子もなく本当に普通の小学生の様でした。
顔も歩道側を向いていたので暗くて何も見えませんでした。
ただ一番不思議だったのがかなり激しく暴れまわっているにも関わらず、その動作に関する音が一切聞こえなかった事です。
この光景の異常さに一気に血の気が引き、その場を確認する事もなくアクセルを思い切り捻り、逃げるように振り返りもせずに帰りました。

最初にも言いましたが、本当にオチはありません。
後ろから追いかけられたなどもなく、また怖かったのでこの日から帰る道を変えたためか、この日からこの男の子を見た事は一度もありません。
その十字路で死亡事故があったなども聞きませんし、少し先に火葬場などはあるのですがそれでも関係があるとは言えない程の距離です。
この通り、結局見たものがなんだったのかハッキリとしない、どうにもモヤモヤする話ですが、僕がいくつか体験した心霊体験の中ではかなり怖いものでした。

駄文、長文になってしまい申し訳ございません。
今までこの光景をうまく説明することができなかったため誰にも話していませんでした。

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