お葬式にて

はじめまして。初めて投稿させていただきます。
記憶が曖昧なので、あやふやな部分もありますがご理解ください。

この話は、8年ほど前の話になります。
私が20歳、今の主人と入籍して約半年たった頃の話です。
夕方頃、義理のお母さんから主人に連絡があり、主人のおばあちゃんが亡くなったと連絡が入りました。
明日、おばあちゃんの家がある東北の田舎までお通夜とお葬式をすることになり、私と主人は新幹線に乗り向かいました。
最寄りの駅からおばあちゃんの家はとても離れてたので、義姉夫婦の車に乗せてもらい、おばあちゃん家へ向かいました。

主人のおばあちゃん家は昔、お店をやっていたそうで、玄関の扉の横には引き戸があり、そこを開けると床がコンクリートの部屋がありました。
昔商品が陳列していた場所だそうで、奥に5段くらいの短い階段があり、そこは和室に繋がっています。
そのコンクリートの部屋に、会議室で使われるような長机が何個か置いてあり、お通夜が始まるまで親族20人程で机を囲んでお茶を飲みながら談笑していました。
私は主人のおばあちゃんにも、親族にも、この頃が初めての顔合わせでした。
主人や義姉は親戚とわいわい話をしていて、私は端っこでポツンと椅子に座っていました。なんだかアウェイな感じでした。

椅子に座ってその光景をボーッと眺めていると、正面3メートル先くらいの位置で立ち話をしている義兄が目に止まりました。
ギョッとしました。
義兄の肩に、黒いモヤのような塊が見え、それは肩をつたい、首に巻きついたり、肩の後ろに隠れたりなんだか義兄の周りをウロウロ?していました。
大きさはたぶん50センチないくらいだったと思います。
見間違いでもないくらいはっきりそれが見えて、(え、これってまさか幽霊?) と、オカルト好きな私でもさすがに怖くなって
主人に、 「お兄さんの肩に、黒い影が見えるんだけど…」 と、訴えましたが、主人には見えていないようで、
何言ってんの?って怪訝そうな顔をされ、当たり前ですが信じてもらえませんでした。
怖かったのですが、お通夜の最中にちょっと不謹慎かなと思い、黒いモヤのことは主人以外には言えず、
忘れようとしましたが、どうしても気になってチラチラ見てしまっていました。

日が暮れた頃、おばあちゃんの遺体が和室に運ばれ、最後のお別れをし、僧侶による読経が行われました。
和室が狭く、全員入れない為、和室にはご遺体と義母兄弟などの近しい親族。
私と主人と義兄達はコンクリートの部屋で椅子に座ってお経を聞いていました。
私の前に背を向けて義兄が座っていたのですが、俯いていた私の視界に、黒いモヤがうつりました。
思わず視線を上げると、黒いモヤが人型になって私の前に立っていました。
びっくりして無意識に息を吸い、ヒュッと喉が鳴った瞬間、金縛りになりました。
金縛りはよくなるので、指先から解こうと頑張ったのですが、全然動きません。
なのに、手はずっと痙攣したかのように震えていました。
そこから喉の奥が熱くなり、苦しくなったところで、私は意識を失いました。

気がつくと、私は義姉夫婦の車の後部座席にいました。
主人が横にいて、私を心配そうに見ていたので、状況が理解できず、
「え?」 と声に出すと、 「○○!?」 と、主人が私の名前を呼びました。
「え?何、こわいんだけど、どういうこと…?」
「え?覚えてないの?」
「何を?」
主人は怖すぎて笑えてくる、と言って何故か涙目で笑っていました。
手にはお守りが握られており、何で持っているのかと聞いても、この時は何を聞いても答えてくれず、
私達は車で義姉夫婦が来るのを待ち、車に乗って宿泊するホテルに行きました。
車内で姉夫婦は大丈夫?と声はかけてくれましたが、なんだか私を元気づけようと?してくれてるみたいで違和感しかありませんでした。
ホテルに入り、私は気絶した後のことを主人に聞きました。
主人が話してくれた話はこうです。

お経を聞いていると、ヒュッヒュッと隣で音が聞こえ、隣を見ると私が震えていたそうです。
見るからに様子がおかしかったので、私を家の外に連れて行き、背中をさすって、
「大丈夫?どうした?」 と言うと、 「あつい、あつい」 と俯きながら、感情がこもっていないような無機質な声で呟いていたそうです。
真冬でちらほら雪も降っているのに暑いなんて、これはやばいんじゃないか、と主人は思い、姉夫婦に車の鍵を借り、車の中に移動しました。
車内に移動してからも、私は様子が変で、いきなり左の窓をじっとみて、「くる!!」 と言い出したり、
「こわい、やだ、こないでやだ!!」 と耳を塞ぎながら発狂していたそうで、ここで初めて何かに取り憑かれてるんじゃ?と、主人は思ったそうです。
怖くて逃げ出したいけど、私をここに一人置いていったらやばい気がして、
半泣きになりながら携帯で除霊の方法を必死に調べ、背中を強く叩いたり、ネットに書いてあったお経を唱えたりしたそうですが、
どれも効かず慌てていると、カバンにつけていた伊勢神宮のお守りが目に入り、それを強く私に握らせたそうです。
すると急に大人しくなり、私の顔を覗いたら、私がいきなり目覚めた、ということでした。

私はこの話を聞いても全然実感がなく、意識を失って気づいたら車内だったので、主人が嘘をついてるんじゃないか、とも思った程でした。
それからは、半ば強制的に、お葬式はせずに私だけ先に家に帰らされました。
親族には、体調が悪くなったから先に帰った、と伝えていたそうです。

その黒いモヤのようなものは、あれからみていません。
何だったのかも、全くわかりません。

P.S このことがあった次の日から具合が悪くなり、3日間様子を見ましたが、治る気配がないので病院を受診したところ、妊娠が発覚。
そして何故か、この妊娠期間中のみ、霊が見えていました。
出産してからは、一度も見ていません。
ちなみに子供は今小学生ですが、霊が見えています。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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