私が大学生の時、友人のKさんが、さくら荘という古いアパートに住んでいた。
ある日、そのさくら荘に泥棒が入り、Kさんの部屋以外、全部が被害を受けた。
おもに、現金や貴金属類の盗難。
昼間の2時頃の犯行だったので、ほとんどの人は外出していて留守だった。
唯一、Kさんの部屋だけが無事だったのだ。
Kさんは、授業があって留守だったが、その部屋には、実は、私がいた。
授業が無かったので、Kさんの部屋でテレビを見ていた。
だから、犯人は入れなかったのだ。
しかし、Kさんは.警察の聴取に対して、部屋には、誰も居なかったと話した。
私を巻き込みたくないと、警察に「嘘」を付いたのだ。
しかしその為に、Kさんは警察から疑われてしまった。
唯一、被害に遭わなかった部屋の住人なので、アリバイを確認された。
もちろん、授業に出ていたのは明白なので、
すぐに疑いは晴れたが、アパートの他の住人からも、変に思われたようだった!
翌日、Kさんの部屋を訪ねて、驚いた。
警察は、あらゆる場所を調べていった。
事件当日、私が座っていたところのすぐ後ろのベランダに、犯人のものと思われる足跡があった。
犯人は、ベランダ越しに在宅か留守かを確認し、玄関の鍵をこじ開け、侵入したようだ。
すぐ後ろのベランダから、見られていたのに、まったく気が付かなかった。
後から考えて、ゾッとした。