違うおばぁちゃん

 現在、F県に出張中で思い出した17、8年前の話です。

 初夏の頃、妻と9歳の息子、3歳の娘と家族旅行で妻の実家の山形に行きました。
 その帰りに、3泊ほど寄り道観光をしながら横浜へ帰る計画たて、その1泊目がF県の湖畔のホテルでした。
 スキーシーズンなら客で溢れそうなホテルが、オフシーズンに集客のために豪華な料理でって感じの広告を見て予約しました。
 夕方にチェックインして部屋へ案内され、妻と『夕飯楽しみだね』なんて話をしていると、不意に娘が『おばぁちゃんは?』と言い、妻は『おばぁちゃんはバイバイして来たでしょ⁉︎』と答えました。
 妻の実家で大変可愛いがられたので寂しいのかなと思っていると、娘が『違うおばぁちゃん居るよ』と言いました。
 一瞬、妻と顔を見合わせ『お風呂行こっか⁉︎ 』とそれぞれ息子と娘を連れ大浴場へ行き、夕食を頼んだ時間までホテル内を散策しました。

 夕食が部屋に配膳され、美味しい食事にテンションが上がり、妻は家族団欒の写真を撮りまくりました。
 その後、娘が変なことを言うことも無く、朝にはチェックアウトし残りの2泊も楽しみ帰宅しました。

 数日後、仕事から帰ると妻が『これ何だと思う?』と写真を見せられました。
 その写真は1泊目のホテルで撮った3枚で、3枚とも被写体が見えないくらい、無数のオーブが写ってました。
 オーブは埃だとか言いますが、その3枚以外の同じ時に撮った写真には一つも写ってないので気持ち悪く思いました。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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