網戸

 暑くて寝苦しい夜、自分はソファーでウトウトしていた。

 リビングの窓を開けて網戸にするとアパートの一階てゆう事もあり心地良い風が入ってくる。
 そのまま眠りに落ちてしまった。

 何分、何時間たっただろう不意に窓の外に人の気配がした。
 意識も朦朧とする中窓の外の人こう言った。 こんにちわ! 寝ているか寝てないかも定かじゃない意識の中で自分は無意識に返事をしてしまった。
 こんにちわと、そう窓の外の誰かも知らない人に返事をしてしまったのである。
 ふと浅い眠りから覚めた自分はヤバイと窓の方に目をやる。
 するとワイシャツ姿の中年の男性が目を見開き部屋の中を見渡している。
 網戸1枚隔てた向こう側、そう鍵も何も掛かっていない網戸の向こう側に男が立って部屋を見渡していた。
 無意識とはいえなんで返事なんかしたんだと後悔して目も開けられなかった、明らかに返事をした自分を探しているのがわかる。
 時を理聞こえる網戸をガリガリ擦る音がやけに耳障りで恐怖だった。

 しばらくすると音は止み男は立ち去ったのか?と思った数分後、今度は窓のすぐ横の玄関のドアの部をガチャガチャ回す音が。
 ドアのポストもパタパタと音がして自分はもうパニック状態に、布団を被りガクガク震えて時間が過ぎるのをただひたすら耐えていた。
 しばらくして音はしなくなり人の気配は消えた。

 あれが幽霊なのか、人なのか、何故すぐ開けられる網戸から入ってこなかったのか、わからないがそれ以来窓を開けて寝る事は出来ず扇風機で暑い夜を過ごしている。

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