真夜中のエレベーター

 今から3年ほど前に起きた出来事です。

 当時自分は介護福祉士として鹿児島の某施設で働いていました。
 その施設で夜勤をしていた時に起きた出来事なんですが、夜中の2時を回った頃、屋上も含めれば5階建ての施設の2階で自分は仕事をしており、利用者さんの洗濯物を取りに居住フロアから洗濯室へ向かいまた戻ろうとした時。
 ふと、道中のエレベーターに目が移りました。
 施設のエレベーターは2つあり夜間は決まって左のエレベーターが屋上、右のエレベーターが1階で止まっているのが普通なんですが、突然左のエレベーターの下りランプが付いて動き出しました。
 その時の自分は1階にいる宿直の看護師さんが3階か4階のスタッフに呼ばれてエレベーターを使って向かおうとしてるんだろうと思い眺めていましたが、4階、3階、そして自分がいる2階を過ぎると思っていたその時、エレベーターは目の前で止まり扉が開きました。
 中には当然誰もいません。
 不思議に思いつつ中を眺めていたら扉はゆっくりと閉まり、そこで止まるだろうと思っていたら、誰も乗っていないはずのエレベーターがまた最初に止まっていた屋上の階に戻って行ったのです。

 よくよく考えてみたらおかしい事にそこで気付きました。
 そもそも仮に宿直の看護師さんが1階からエレベーターに乗って上がるなら、既に1階の右に止まっているエレベーターを使えば良いはずなのに、何故かそうしなかった、或いは、ならなかったのです。
 そしてエレベーターが動いていた一部始終を見ていた自分は、その時何故かエレベーターとの間に人1人分が開くスペースを無意識に作っていました。
 夜中の2時は丑満時、霊が出やすい時間に起きた出来事だったので、もしかすると、あの時自分には見えない何かが2階から屋上へ移動して行ったのではないかと、そう思えて仕方ありません。

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