仲の良かった兄

 今から約12年前、実の兄が亡くなりました。病気です。
 私は結婚し、長男が生まれる少し前から実家に帰省しており、兄とどちらの性別だろうねと楽しみにしておりました。
 男の子だったら太郎、女の子だったら花子にしろよと言って、嫌だそんな名前と笑っておりました。
 俺も叔父になるんだなと愛おしそうにお腹をさすります。早く生まれてこい、お年玉やるから。 と、何度も擦りました。

 冬に元気な男の子が生まれ、太郎じゃないけど、古風な名前をつけると兄が太郎じゃないのかと拗ねていました。
 年を越し、新年、兄が会いたいと言うので、主人と私、子供で会いに行きました。
 すると具合の悪そうにしている兄。「大丈夫?」と言うと「あぁ」と返事。
  愛しそうに、やっと会えた、かわいいと言います。
 ミルクをあげたいと言って飲ませてくれて、抱っこして数分、具合が悪いからと部屋で眠ると2階に上がっていきました。
 少し親と祖母と話、親が深刻な顔で兄は癌だと聞いた。
 びっくりして、顔面蒼白になりました。兄に会いに「お兄ちゃん大丈夫?」と聞くと返事がない。「お兄ちゃん!」と言うと「あぁ。大丈夫だ」と。
「また会いに来るね、またね」「あぁ、またな」が最後の会話でした。

 夕方、倒れ1ヶ月後に、意識不明のまま亡くなりました。
 最後にお母さんのカレーが食べたいと言って食べたあとでした。
 私のコンタクトレンズをしていたので、目は盛り上がり、兄だというのは信じられないくらいでした。
 泣いて、泣いて、悲しくて。
 姑にあんたの兄がなくなったのは、私のせいだといわれ、毎日どうやって死のうかと、どうやって親に詫びようと考える毎日でしたが、初盆きて、実家に帰ると、玄関が開き母が出迎えてくれた瞬間、カレーが漂ってきて、びっくりしました。
 「カレー作った?」と聞くと「作ってない」と言う。
 主人も、最後に兄が食べたものがカレーだということは知ってるので、顔を見合わせ、膝から崩れ落ち涙が止まらず「お帰り、お帰り、お兄ちゃん!」といつまでも言っておりました。
 それからは何もなかったんですが、兄が帰って来たんだと涙が止まらず母も泣いていました。
 以上、私の体験談です。乱文ですみません。

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