早朝の田舎道。
線路沿いの住宅地を歩いてた。
小さな街頭がポツポツとあるだけで周りは薄暗い。
少し遠くから何かが来るのが見える。
ときどき街頭で照らされるそれは自転車だとわかった。
ペダルを漕ぐ音は油が足りてないのか
少し耳に障るような音で自転車のライトは消えかけかのように弱々しい強弱があり雰囲気が気味が悪かった。
その時、道沿いにある住宅のセンサーライトが起動し、自転車とその乗った人が照らされる。
乗っている人はジャンパーのフードを深く被っているのか顔は暗く見えない
遠くからはわからなかったが近くになり
明るいセンサーライトで照らされる自転車とその人。
違和感がある。
そしてハッと気づいた。
影がない。
照らされるそこにはちゃんと居て
私の目からはしっかり見えてるのに
その足元にはどこにも影が伸びてない。
自転車は住宅を通過し
センサーライトもしばらくして消えた。
薄暗い道で自転車との距離は縮まる。
私はうつむき加減で
すれ違いざまに横目で自転車を見た。足元が見える。
影のないそれは
季節外れなゴムサンダルを履いている。
そこにぎこちなく聞こえる嫌なペダルの音、
それはゆっくり通過していく
やっぱりどこか気味が悪かった。
私は視線を戻し足早に歩いた。
後ろのほうから自転車のベルが
チリンチリンと鳴るのが聞こえた。
私は振り向く勇気はなかった。