あれはいったい

 息子が大学に入った時のお話です。

 入学してすぐの頃、部活の歓迎会が有ると言うので出かけて行きました。
 日付けが変わっても帰って来ないので私は心配してましたが、主人は『 大学に入ったらこんなもんだろ、地元の先輩も一緒だから大丈夫だよ』と呑気な返事だったので、男の子はこんなもんなのかなーと布団に入ってました。

 ふと目を覚ますと、階段を静かに上がってくる足音に気付き、時計を見ると二時少し過ぎ。
 隣で寝てた主人も気がついたみたいで、2時かーと。
  私達の寝室の廊下を挟んだ向かいが息子の部屋なのですが、いつもならドタバタとうるさく階段を上がってドアの開け閉めをするのが、そーっと部屋に入って行きました。
『 流石に大学生にもなると気を使うことを覚えたか〜』と主人と話して私達も再び眠りました。

 明け方大きな声で目が覚めました。
 息子が『 ありがとうございました!』と挨拶をして車が発進する音が。
 いつものようにドタバタと階段を上がりバタンと息子の部屋のドアが開閉されました。
 ??? また出かけてたのか?
 息子が起きてきてから聞くと、2時頃にはまだ盛り上がっていて家には帰ってないと。
  私だけではなく、主人も聞いてたあの足音、息子の部屋に入って行った気配、あれはいったい……。

朗読: モリジの怪奇怪談ラジオ

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