もう随分昔のお話です。
私がまだ独身で実家住まいの24才の頃のお話です。
当時父は商売をしていたのですが、人のいい父は同業者の保証人になったのですが、その方が不渡りを出しその煽りでうちも倒産してしまいました。
店をたたみ家を売却する事になったのです。
翌年にはローンが払い終わるから、お祝いしようねと言っていた矢先の事でした。
家を買い取った方は建物は壊して新たに新築すると言うことで家族の思い出が詰まった家が無くなるのは本当に悲しかったです。
特に父の思いを考えると今でも涙が出ます。
そして後1週間で家を明け渡すと言う頃から私は不思議な体験をしました。
私は1人部屋にお布団を引いて寝ていたのですが、目をつぶっても薄暗い部屋の様子が見えるのです。
左手に本棚、足下に押し入れ、右手に窓があってカーテンが閉まり、その横にカラーボックスが置いてある。
確かに目をつぶっている?手で目を触るとしっかり瞼は閉じてます。
私の部屋の近くに街灯が有るので薄明かりがさして見える景色、いつも布団に入って眠りにつく前に見えるもの、それが目を閉じても見えているのです。
後で起き上がって確かめて見ればよかったと思ったのですが、その時は全然そんな事思い浮かばなくて、目をつぶっても見えてるので全然眠れなくて、その方がストレスでした。
この現象は引っ越す前の晩まで続きました。
あれは20年近く住んでいたあの家の私の部屋が、覚えておいてくれよとうったえてた部屋の思いだったのでしょうか?
でも時々思うんです、もし起き上がって押し入れを開けたら、部屋を出たら何が起こっただろうかと