某牛丼チェーン店でバイトしてた頃の話 休日は朝から晩までシフトに入って荒稼ぎしてたんだが、お昼のピークを無事に裁ききり、休憩を取ろう事務室に入ったとき、バイトの子が急に夕方から夜のシフトに入れないということ店長に言っている最中だった。
もちろんバイトなので、事情が入ってしまってしまうのは仕方がないのだが、店長からすれば当日に言われても困るということも十分俺には理解できた。
俺には関係ないなあ~とかおもっていたら、店長が「俺も入れる人がいないか探すけど、君も代わりの人を探してくれ」のようなことをいっているのが聞こえて、事務室の空気はどことなく嫌な感じがして、休憩終了の時間が来る前に俺は店内へと戻った。
すると、先ほどのバイトの子が店内に戻ってきて、そこからは、業務的な会話以外はしない時間が続いた。
そもそも、そんなに話す仲でもなかったのだが、客が少ない時間には多少話したりして暇を潰すこと多々あった。
なぜか、こういうときに限って客が来ず、俺は少し嫌な予感がしていた。
そして、店内にいた最後の客が店を出ると、その子が俺に申し訳なさそうに言ってきた。
「あの~〇〇君(俺)、今日のシフトちょっと、延長してもらえないかなぁ?、私、夜に都合入っちゃって、シフト変わって欲しいんだけど…」
俺は、朝からシフトに入っていて疲れていたことや、休日のゴールデンタイムは、テレビを見ながら飯って勉強するというのが日課というか俺のルーティーンのようなものだったので、前者の理由だけを言って断ったんだが、その子は、ものすごく残念そうで困った表情だったがわかった。
帰るときに事務室で着替えてたんだが、その時も店長に代われないか訊かれたが丁重にお断りをした。
冷たいかもしれないが、俺にだって申し訳ないという気持ちはあった。
でも、この状況をどうにかするのが店長の仕事であり、あの子の責任だろうと思って俺は帰路についた。
翌週、少し気になったいたのもあり、店長に訊こうか迷ったが断わっておいて訊くのも失礼だなと思って、そのことについては触れずにいようと事務所のドアを開けると、店長が俺を見るなり、開口一番、「先週は本当にありがとう!助かったよ!」と言ってきた。
何のことか全く分からず、店長に尋ねると「何って、シフト代わりに入ってくれただろう、いやー本当に助かったよ!」とのこと。
店長に詳しく訊くと帰ったはずの俺が事務室を出て5分もしないうちに戻ってきて、「シフト延長できるようになったから代わってもいい」と申し出たらしい。
当然、俺はそんなことはしていない。
帰って、飯を作って、農業を頑張るアイドルのテレビを見ながら飯を食って、勉強をした記憶しかない。
が、どうやら店長も嘘を言って揶揄っているようではなかった。
いっしょにシフトに入った人にも確認したが、俺が入ってたらしい。
こんな体験はしたことがなかったので、正直気持ち悪いし、怖い。
もう一人の自分、つまりドッペルゲンガーの話しは聞いたことがあるが、シフトには当然ながら店舗メンバーとして登録していなければ入れないのでただ似ている人がいたというだけではないことはわかっていた。
自分の代わりに働いてくれて、お金がもらえるなら、楽だなぁ~とかも思ったけど、その働いてるのも俺なんだよなぁ~とか思うと少し、複雑な気持ちになる。
罪悪感もあって、その時に発生したバイト代はなんだか使いずらい。
やっぱり、自分で働いたお金で物を買ったりして、生活したいと思った。
でも、店のピンチを救ってくれてありがとう!もう一人の俺!みんな俺にお礼言うから俺ぐらいはお前に言わないとな!