「集団下校の帰り道。
遠くに真っ赤な月、見えた。
月光、赤くて怖い。
道の両側、田んぼの中からゲコゲコとカエルが鳴く。
月光、月光、月へ帰るとカエル泣く。
一人多いか、少ないか。
オタマジャクシは、皆無事か。
カエルが鳴いても振り向くな。
みんな足りてる、みな無事だ。
集団下校の帰り道」
私が小学生の頃、集団下校で帰る時は必ずこの歌を歌うようにと、上級生に教わった。
月が赤い時は月を見てはいけない、とも言われたかな。
でも3年生の時、隣のクラスの男子生徒が、それを破った。
歌を歌わずに赤い月を見た。
その時、田んぼの中から大きなカエルが出てきて、彼を一口で飲み込んでしまうと、真っ赤な月に向かって一声鳴いた。
確かに、それ以来ずっと彼は学校に来ない。
それから十年以上経つ。今はもうその子の名前さえも、忘れてしまった。
というよりも、そんな人居たかな?