これは、母が体験した話です。
母が39歳の時、交通事故で頚椎骨折し職場である病院に入院しました。
即頚椎を牽引し、骨折した部位に一切負担をかけないよう、ベッド上安静を強いられている生活を3日ほど続けたある夜中。仰向けに寝ているはずなのに、ベッドに誰かが入ってきて背中にはりつく感覚で目を覚ましたそうです。
その時には、自由に動くはずの手足に感覚がなくなり、麻痺したように思えたと。それでもどうにかナースコールをしなきゃと足掻いていると、背中の冷たい気配が顔を覗き込むように、動く気配があり必死で目を反らしたそうですが。
「ねぇ、起きてる?………ねぇ、かわってよ………」
と言われ、気絶したそうです。その事を同僚ナースに話すと幻覚を見る副作用を持つ薬の影響じゃないかと、医師と相談の上薬の変更になったらしいのですが、私に言うのです。
「かわってよってさ、代なんかね?変なんかね?それとも替なんだろかね?」
内心、母がド天然で良かったとほっとしたのは内緒です。