遺伝子

 私には、霊感がありません。
 でもオカルトが大好きなので、オカルト系の動画や写真、掲示板などを良く拝見します。 ここ数年、私は調子が悪くなる事が多いです。
 病院へ行き、脳波の検査など一通りしましたが、特に異常はありませんでした。 私は、これは霊による仕業だと考えています。
 ですが霊感が無いので、何かが見えたりする事はなく、なんとなく視線を感じて誰かに見られているような気がしたり、頭から肩にかけてズーンと重く、まるで何かが私にぶら下がっている感じがするから。
 好きだった事がどうでも良くなり、趣味をするのも何だか憂鬱です。
 仕事も休みがちになって、友達と遊びに出かけるのも気が進みません。
 寝ても寝ても眠くて、起きても疲れが取れません。
 まるで生気を吸い取られているみたいに、何もやる気が起きません。
 ここ数年はずっとそんな感じです。
  お祓いに行こうとして、色々調べてみたのですが、どこでしてもらうのが良いのか良く分からず、何だか面倒臭くなってしまって行けていません。
 とにかく、私には何かが憑いている……そんな気がします。
 というか、多分そうなので。

 そして昨日、ある事が起こりました。
 私は自分の心臓の音で目が覚めました。
 覚めたと言っても、目を開けた訳ではなく、なんとなく意識があるような感じ。夢を見ていない状態で、頭がハッキリしている感じです。
 全速力で走ったわけでもないのに物凄くドキドキしていて、自分でも驚きました。
 息苦しくて、起き上がろうとしても体が重い。
  金縛りってこういうものなのか、と思いました。
  パッと目の前に、何かが浮かびました。 ……顔でした。
 知らないおじさんの顔。
 眉毛が太くて目が小さく真っ黒で、こっちを見てニヤリと不気味な顔で微笑んでいました。
  気持ち悪い……こいつが私を苦しめていたのかと思うと、怒りが湧いて来て感情が一気に込み上げました。
  心の中で 「お前だったのか!!ふざけるな!良くも私をこんな状態にしたな!!お前に私の苦労が分かるか?いい加減にしろ!二度と私に関わるな、消え失せろ!」 と罵声を浴びせました。
  それからは良く覚えていません、眠ってしまったのだと思います。
  次に目を覚ますと朝でした。
 何となく、体が軽いような気がしました。
  出社して、いつも通り仕事をしましたが、いつもより何だか捗っている感じがします。
 ミスも少ないし、どんどん意欲が湧いて来ました。
 もしかして…と思いました。
  あのおじさんが幽霊だったのかは分からないし、私に憑いていたかも確認する術はありませんが、もし幽霊だったのなら、強い気持ちがあれば負けないんだなと。
  優しい人はそういうものを寄せ付けやすいと聞いた事があります。
 そういう事なんでしょう。
  私は幸か不幸か、母親譲りの気の強さがあります。
 そのせいで元彼達とバチバチに揉めて、何度も喧嘩別れを経験しています。
 強く生きよう、と思えました。

 皆さんも、負けない心を、どうか大切に。

朗読: 読書人流水

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