海辺老婆

※この話を見る前に、霊感のある方は少しだけ注意が必要かもしれません。

 ある夜、友人らとともに隣の県までドライブをしていました。
 少し遠出をした理由の一つとして、その県はかなり有名な心霊スポットが多いということから、好奇心に身を任せて行ってみようということになりました。
 心霊スポットに行こうといっておきながら、幽霊的な面と法律的な面でかなりのビビり集団だった私達は、 建物内部に入るわけでもなく、道路沿いから廃墟になった建物を見て、また次の心霊スポットへと向かうのでした。
 三つほどの心霊スポットを眺め、海辺近くで一服するかということになり、また車を走らせていました。
 山沿いを走る道中で、 左の助手席に乗っていたAが言った『今、おばあさんみたいなのいなかった?』という言葉に車内は凍り付き、 見間違えだろということになりましたが、左の後部座席に乗っていた私も確かにおばあさんの様な人を見ており、内心恐怖心で一杯でした。

 海辺に着いて、各々一服しているとAが『だれか遠くで歌を歌っていないか?』と言い出しました。
 耳を澄ますと、波の音と共に、誰かの鼻歌が聞こえるような気はしましたが、それよりも何かゴロゴロと引きずっている音の方が確実に聞こえました。
『何かひきずってこっちに近づいてる音しない?』と私が言うと、海岸の海の途中まで突出した防波堤(?)から、おばあさんがシルバーカーを押しているのが見えました。
 時間帯は午前1時過ぎで、さらにシルバーカーを押す年齢のおばあさんが防波堤のまでどうやって行ったのかが分からない状況でした。
 ただ、田舎県に住んでいる私達は、この手の自体はもしかしたらあり得るかもしれないという思考がありました。
 認知症の老人が夜中に家を抜け出してしまい、捜索願の放送が流れることが多々あり、もしかしたらその類かもしれないという話になりました。
 ただ、山道でもおばあさんを見ているAと私は怖いため、BとCが見に行くことにしました。
 車内で待っている私とAは、絶対人間の類じゃないという話をしていると、BとCが戻ってきました。
 無言で車を走らせたBに私達は何があったか尋ねました。
 結論から言うと、おばあさんが目の前で消えたというのです。
「大丈夫ですかー?」と近づいていったBとCは、おばあさんが鼻歌を歌ってこっちに近づいてきたと言います。
 ただ、近づいてくると同時に体が薄くなって、突然姿が見えなくなったというのです。
『まぁ、本当の人なわけないよな』と言っていると、鼻歌が鮮明に聞こえ、後ろをむくと、道路の中心におばさんが立っていました。

 結局それが、幽霊だったのか何だったのかは断定できませんが、 この話を知人にすると、霊感の強い人は何かを感じたり、ポルターガイスト的なことが起きるそうです。

朗読: かすみみたまの現世幻談チャンネル
朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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