夜中の訪問者

 はじめまして。
 私は数回金縛りにあったことのある程度で霊感は無いのですが、一度だけよく分からない怖い体験をしたので、皆さんで考察して頂きたく送らせて頂きます。

 数年前まで私は死人に仏衣をお着せしたり、死化粧をしたりする納棺師という仕事をしていました。
 その仕事を初めて半年程経った頃の出来事です。
 秋頃、一ヶ月間ほど金縛りにあう時期がありました。
 私の家は(一人暮らしです)玄関を開けると左右にトイレと風呂場、洗面所があり、その先にもうひとつ扉があり、そこを開けるとリビング、奥へ寝室と繋がっている構造をしています。
 その金縛りというのが、毎回あう直前にくるな、と感覚で分かるのですが避けることは出来ません。
 かかると目が開けなくなり、上手く呼吸が出来なくなります。
 そうして苦しんでいると、玄関の鍵を開ける音、リビングに通じる扉を開ける音の後に、私の寝ているベッドまで何かが勢い良く「ダダダダダッ」と走ってきます。
 音も振動も感じるのですが決して目は開けられません。
 そうして私の枕元まで来た何かがずっと私の顔を覗き込んできます。
 時間にすると1、2分程度。
 何も見えませんが、何故か顔を見つめられているのがよく分かります。謎の圧迫感という感じです。
 そのうちに息をとめられていることに耐えきれなくなり、少しずつ意識が遠のいていき、気付くと朝になっています。
 このような現象が約一ヶ月程続いていました。

 途中で気付いたのですが、恋人が泊まりに来る日は何も無く、必ず一人で寝ている時にだけ起きる現象でした。
 鍵や扉の音があまりにリアルなので毎回本当に人が入ってきたかと思って焦り、二重で怖かったです。
 金縛りが続いたある日夢を見ました。
 夢の中で私は自宅のキッチンに居るのですが、何故か目の前に見たことの無いお婆さんが居ました。
 私は自宅に不法侵入者が居る恐怖で固まっているのですが、そのお婆さんが私の方に振り返り、顔を見た瞬間、「いつも私の枕元にくるお婆さんだ」と確信しました。
 見たことの無い顔でしたが直感的にわかりました。
 そこでやり取りは無かったのですが、その夢を見て、お婆さんを認知した瞬間から金縛りはぴったりと止みました。
 日々の仕事でご遺体に失礼のないよう心掛けているつもりでしたが、何かのタイミングで恨みを買ってしまったのでは無いかとも考えました。
 ですがあのようなお婆さんに処置をした記憶も無く、本当に謎です。
 その後もこれといった体験も無く仕事をこなし、今は別の仕事をしていますが、今まで生きてきた中で一番生きた心地のしない一ヶ月間でした。

 下手な文章で分かりづらい部分等あったかと思いますがご了承ください。
 因みに、数年経った今、あのおばあさんの顔は白いモヤがかかったかのように思い出せません。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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